日経クロストレンド

コーヒーは味覚トレンドを数値化

彩々粥に並ぶ戦略商品がコーヒーである。20年10月16日以降、取扱店舗を拡大し、同月末までに全店で販売を始める予定だ。こちらも顧客層の拡大と来店頻度の向上を狙った一手である。「コーヒーは客数を最大化するための大事な戦略。日本のコーヒーの摂取量は世界トップレベル。普及率のみならず、毎日何杯も飲む方が多く、摂取頻度も高い」(原田氏)。20年6月、グランデュオ立川店(東京都立川市)で先行発売したところ、売り上げの1割以上を稼ぐ主軸メニューとなり、全国展開に踏み切った。

コーヒーメニューの開発に向け、まずは日本市場におけるコーヒーの味覚トレンドを分析。カフェやファストフードなどの外食チェーン、コンビニエンスストアのコーヒーの味わいを調査し、濃厚感や酸味、苦みの強さを数値化してメニューのポジショニングを決めた。

「ブレンド コーヒー」(Sサイズ250円、Mサイズ290円)はリッチで飲みやすく、「アイス コーヒー」(Mサイズ290円、Lサイズ340円)は、すっきりとした後味を楽しめるコーヒー豆をそれぞれ選定。「カフェ オ レ」(ホットはSサイズ390円、Mサイズ440円、アイスはMサイズ390円、Lサイズ440円)と、先行販売でとりわけ人気だったという「黒糖ミルク カフェ オ レ」(アイスのみ、Mサイズ520円)もラインアップに加えた。

「Hello, Coffee」を合言葉に、コーヒーの取り扱いを本格的に始める

「ゴンチャの勢いは去っていない」

メニューのバリエーションを増やすことは、ゴンチャの路線変更を意味するわけではないという。タピオカがコアメニューであることは今後も変わらない。その一方で、原田氏は「タピオカはゴンチャのトッピングの1つにすぎない」とも強調した。

4つのベースティーにタピオカをトッピングしたドリンクが1番の売れ筋ではあるが、個性的かつ多彩なメニューがあることによって、来店頻度が上がって客層も拡大し、4つのベースティーの売り上げもさらに伸びるという成長戦略を描く。実際にフルーツビネガーの発売以降、「戦略通り新しいお客様を獲得でき、従来のコアメニューの販売増にも寄与している」(原田氏)と分析している。

ゴンチャは19年に米国の投資ファンドTAアソシエーツの傘下に入り、グローバルで出店拡大に動いている。店舗数は既に世界で1300を超え、23年には4000店舗達成を視野に入れる。コロナ禍の中、日本でも過去最多ペースで出店を続け、20年末には前年末比35店増の90店舗まで増える見通しだ。原田氏は「数年以内に400店舗は必ず超える」と明言し、こう言った。

「昨今、いろんなメディアでタピオカブーム終焉(しゅうえん)というような切り口でご質問をよく受けるようになった。確かにタピオカドリンクはダウントレンドになっているが、そのことをもってゴンチャの勢いが去ったと誤認されないようにしたい」

原田氏が目指すビジネスモデルは極めてシンプルだ。「ベストメニュー、ベストサービス、ベストロケーションが3本の柱。素晴らしいメニューと、素晴らしいサービスを、素晴らしい場所で展開していく」。

黒糖ミルクやコーヒー、フルーツビネガー、彩々粥を発売する一方、パイナップルケーキやマンゴーケーキ、タルトやプリンなどのデザートメニューは20年8月をもって終売とした。新たなドリンクメニューを20年内に1~2種類加え、フードメニューも「既に次のパイプラインを用意している。彩々粥の売れゆき動向を見て次をいつ出すか、戦略的にタイミングを考えたい」(原田氏)と先をにらむ。

サービス面では、注文から提供までにかかる時間を3分以内に短縮する。「3分というサービスタイムは非常に大事な顧客価値だ。行列をつくって売れている感を出すといった誤った戦略から方向転換しなければならない」(原田氏)。

立地の選択も、withコロナ時代に対応していく。「渋谷や新宿などハイデンシティ(高密度)のエリアほど顧客の戻りが遅れている。むしろちょっと離れたショッピングモール、アウトレットのほうが好調で、店によっては(売上高で)コロナ前の100%を超える実績に戻っている。厳しいコロナ禍だからこそ、今までにない優良物件に巡り合う機会も増えている。今後、ベストなロケーションをうまく抽出、選択しながら事業効率を上げていきたい」(原田氏)。タピオカのゴンチャではなく、アジアンカフェのゴンチャへ。原田流の大改革は続く。

(日経クロストレンド 酒井大輔)

[日経クロストレンド 2020年10月16日の記事を再構成]

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