「守りのDX」で求められる人材

収益を生み出すことを目的としたイノベーションや新規事業に取り組む「攻めのDX」に対し、「守りのDX」とは、業務オペレーションの効率化、コスト削減、サプライチェーンの最適化といった取り組みを指します。

守りのDXを推進する企業が求めるのは、「課題発見・抽出力」を持つ人材。しかも、表面的な小手先の効率化ではなく、業務の本質をとらえ、「残すべきもの」「残す必要がないもの」を見極められる人材が必要とされています。加えて、セキュリティーやリスクマネジメントの観点も欠かせません。

求人が出てきているのは、事業会社の経営管理部門・情報システム部門・コーポレート部門(経理や人事、総務、法務)などからです。各業務の専門性に加え、データやデジタルを活用した戦略的思考ができる人材が求められています。

コンサルティングファームのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)コンサルタントやSIer(システムインテグレーター)の営業など、クライアント企業の業務課題の分析・改善を手がけてきた人が事業会社に移る事例が増えてきています。

菅義偉首相は全省庁の行政手続きを対象に「脱はんこ」や書面・対面主義の見直しに向けた方針を打ち出し、河野太郎氏を行政改革の旗振り役として任命しました。こうした背景もあり、企業の「守り」の部門においてもDXは加速していくことでしょう。

管理系の仕事のスタイルは確実に変わっていくので、従来のやり方を変えることへの抵抗感を捨て、どん欲に学んで新たな手法を取り入れていくことをお勧めします。

転職先を選ぶなら「トップの本気度」に注目を

「DX推進プロジェクトに携わりたい」「DXの領域でキャリアを積みたい」という人が転職を図る場合、ぜひ注意して見てほしいポイントがあります。それは「経営トップの本気度」です。

「DX戦略の責任者を募集」など、求人のワードは同じでも、熱量には差の大きいことがあります。実際、「世間ではやっているようだから、うちの会社も何かしてみようか」と、DX推進部門を設けてみたものの、なかなか思うように進まない企業も。DX推進担当者が経営に提案を上げるものの、効果を予測できないため投資判断ができないというケースもあるようです。

経営トップが現状にどれだけの危機感を持っているか、DX推進によってリアルビジネスにマイナスの影響が出る可能性があるとしてもリスクをとる覚悟があるかどうか。DXを意識して転職先の企業を選ぶ際には、ぜひそうした点に注目してみてください。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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