食費の節約というと、「少しでもおトクに買うにはどうすればいいか」が話題になるように「買う」という入り口ばかりに視点がおかれがちです。しかし、日本の食品ロスは年間646万トン(平成27年度推計)で、そのうち事業系廃棄物由来が約357万トン、家庭系廃棄物由来は約289万トンと、約半分が家庭から出ているロスなのです。
年間1人当たりの食品ロス量は約51kgで、その数字は年間1人当たりの米の消費量(約54kg)に相当するということ。このような数字を見れば、せっかくお金を出して買った食材も捨ててしまっている部分が多いことが分かるでしょう。
今回は食品ロスを極力減らして食費の節約につなげるような食材の使い方をご紹介します。
食品ロスを減らすには、今までは捨ててしまっていた部分も食べるようにすることが一つの方法です。しかし「野菜の皮などを食べる方法を知ってはいても実際にはやっていない」という人が多いのも事実。その理由としては「つい忘れて捨ててしまう」「面倒そうだから」というもの。だったら、面倒にしなければよいのです。
一度に下調理する
つい忘れて捨ててしまったり、面倒に思えたりしてしまうのであれば、実を調理するときに一緒に下調理してしまうことをおすすめします。例えばブロッコリーは実をゆでるときに、茎の部分も一緒にゆでてしまいましょう。周りの硬い皮だけむいて、茎の中央部分は使いやすい形にカットします。実の部分と一緒にゆでて、同じ料理に使ってもよいですし、冷凍しておき後日、サラダやスープ、味噌汁、炒め物と幅広く使うことができます。

ネギの青い部分も同様です。白い部分をカットして使うときに青い部分までカットして一緒に使えば何も追加の手間はいりません。ネギの青い部分はとくに「捨てている」というご家庭と「食べている」というご家庭がきっぱり分かれる部位。青い部分を捨ててしまえば、場合によっては買ったネギの3分の1を捨てているということにもなります。青い部分はβカロテンが豊富な部位でもあるので、ここはぜひとも食べておきたいところです。
硬い皮はきんぴらに
根菜類はとくに皮が捨てられることが多い野菜です。実の部分と一緒に食べるには食感が違いすぎることも多いので、ここは別の料理、きんぴらにしてしまえばおいしくいただけます。
ポイントは皮をむくときにピーラーを使うのではなく、包丁で少し厚めにむいていくこと。それだけできんぴらも立派な一品に仕上がります。
■栄養満点、お茶の葉だって食べられる
お茶をいれたあとに残る茶葉。お茶の名産地である静岡県では食べるご家庭も多いそうですが、その他の地域では捨ててしまっているかたも多いと思います。お茶の栄養は約7割が茶葉に残っているともいわれていますので、これを捨ててしまってはもったいない!
お茶をいれ終わったあとの茶葉を乾燥させ、フードプロセッサーで粉末状にしご飯を炊くときに入れ茶飯にするのもおすすめです。乾燥させたり、フードプロセッサーを使ったりするのが面倒なかたはつくだ煮のように煮こんでみてはいかがでしょうか。
目安の分量は茶葉大さじ4~5に対して、しょうゆ大さじ1・砂糖大さじ1が基本。これにちりめんじゃこと山椒(さんしょう)を加えたり、ゴマをふったりしてアレンジも可能です。
ピーマンの種やアジの骨も食べられる
ピーマンと言えば中に詰まった種をきれいに取り除いてから調理する人が多いもの。しかし、ピーマンの種はそのまま入っていても気づかれることが少ないくらいに小さな存在なのです。ピーマンの肉詰めを作るときなどは種を取らずにそのまま肉を詰めてしまいましょう。
最近では魚をおろすのはスーパーでやってもらうというご家庭も多いようですが、アジなどを自宅でさばいたときは骨もしっかり食べてしまいましょう。アジの骨は「骨せんべい」としておいしくいただけます。フライパンに少し多めの油を入れ、低温で7~8分じっくりと素揚げします。油切りをしたら塩(適量)をふって完成です。
今回ご紹介したように一つ一つの捨ててしまっていた量は少なくても、それらを食べる習慣がついてくると食品ロスの量を大幅にカットすることができ、食費の節約にもつながります。これからの調理で少し意識してみてはいかがでしょうか。
