幸せなキャリアはどう築く 「やりたい」に忠実に仕事と遊びの境界線をなくす「公私混同力」のススメ(14)

2020/10/26
キャリアには世の中をどう見ているかという視点が重要に(写真はイメージ=PIXTA)
キャリアには世の中をどう見ているかという視点が重要に(写真はイメージ=PIXTA)

「キャリア迷路(モヤキャリ)」から抜け出すためのコミュニティーを主宰する池田千恵氏によると、これからのキャリア形成にはスキルや経験を積み重ねるだけでなく、自分がどんな視点で世の中を見ているかを知ることが重要になってくるそうです。今回は社会公益性とエグゼクティブに特化した転職エージェントであるプロビティ・グローバルサーチ代表の高藤悠子さんに幸せなキャリアを築いている人の共通点について池田氏がインタビューしました。

高藤悠子さん
プロビティ・グローバルサーチ代表。慶応義塾大学卒業後、メーカーの海外営業部、人材紹介会社(東京)、人材紹介会社タイ法人の執行役員を経て2012年に日本に帰国。社会公益性×エグゼクティブに特化したプロビティ・グローバルサーチ設立。若手優秀人材から、年収数億円のエグゼクティブまで転職支援実績あり。『良い会社に良い人材をつなぎ、より良い社会の実現を』がテーマ

世界をどんなメガネで見ているか?で人材をマッチング

――この連載は、転職未満のモヤモヤや、キャリアの葛藤を抱えている方のヒントとなるお話を伺っています。キャリアのモヤモヤは自分のやりたいことと現実にギャップがあるからではないかと感じているため、御社が掲げる「ビジョン・世界観マッチ型転職」に興味があります。普通のマッチングとはどう違うのですか?

一般的な転職では前職で培ってきたスキルや経験をもとに企業と個人をマッチングすることが多いです。しかし、スキルや経験だけで転職しても、その後組織の文化にあわなかったり、会社の方向性と個人の方向性がずれていったりして、企業も個人も「こんなはずではなかった」となることもあります。そこで弊社では、「スキル・経験」「ビジョン・パッション(何をしたいか)」「世界観」を全部ひっくるめてマッチングしています。

「世界観」とは「どういうメガネで世界を見ているか」を指します。例えば「環境問題を解決したい」と考える3人がいたとしても、環境問題に興味を持つ視点はそれぞれ違います。ある人は「環境問題への関心は今後衰えることなく続くだろう」といったように、永続性に焦点を当てて考えるかもしれませんし、ある人は「環境問題は今ホットだから、優秀な人たちが集まっていて、おもしろいことができるだろう、自分も成長できるだろう」とスピード感や自分の成長に焦点を当てて考えるかもしれません。ある人は「自分の原体験から環境に配慮した世の中をつくりたい」と環境問題を自分の使命として考えているかもしれません。このような「世界の見え方の違い」を私たちは「世界観」と呼んでいます。

企業も世界観はそれぞれです。安定なのか、スピードなのか、使命なのか。どんな世界観を持っているかで求める人材も変わってきます。企業と個人の双方の世界観をあわせたほうが、入社後の活躍の度合いが高くなることも分かってきました。そこで、入社後の活躍も見据えてマッチングしています。

内省・情報収集・行動のバランスがモヤキャリ脱出のカギ

――確かに条件だけで転職しては、のびのびと働けない場合がありますね。今の会社はなんだか違う気がするけれど、かといって転職するまでには至らないとモヤモヤしているという人もいるかと思います。そんな人が前に進むための秘訣はありますか?

モヤモヤしている人をみていると、「内省・情報収集・行動」のうち、どれかひとつだけをずっとやり続けている人が多いと感じています。

自分の中だけで振り返ってばかりでも前に進めないですし、情報収集ばかりしていても不安になります。行動だけをしていても経験を知恵に変えられないので的外れな行動をしてしまいます。モヤモヤの場から抜け出せない人は意識して「内省→情報収集→行動」の流れをバランスよく回すように心がけるといいですね。

――すぐに転職だ!と思い切るのは将来の不安から難しい人もいるでしょう。行動に移すのが怖いとき、どうしたらよいでしょうか?

そういう方には「デート理論」を推奨しています

今の会社はいわば、10年くらい付き合った彼氏や彼女というふうに考えてみます。なんだか物足りないけど安定はしている。でもこの人と、果たしてずっと添い遂げていいのか?ほかにいい人がいるかもしれない。そんなときに他の人とお茶くらいしてもいいじゃない?というのがデート理論です。

お茶をすることで今のパートナーがやっぱりいい!と思い直すことができれば、現状よりも今のパートナーと良好な関係が築けますよね。もしお茶してみて引かれる人がいれば、お茶の回数を増やしてみて、いずれ乗り換えてもいい。そのくらいならしてもいいのでは?ということです。

実際転職活動をお手伝いした方でも、結局は社内異動ができました、とか、やはり社内がいいと思いました、という人も多いです。活動したからこそ今の会社の良さもわかり、取り組み姿勢も変わってくるので会社からの評価も変わってきたりしますよね。

求められることに「プラスアルファ」の工夫が実績に

――転職市場で求められている方は、普段からどのような行動をしているのでしょうか?

目の前の仕事で成果をだそうとしていますね。やりたいことが最初から明確な方もいらっしゃいますが、最初から「絶対にやりたい」と思う仕事にはたどりつかないことも多いです。そんな中でも、今の自分が与えられている環境で会社や組織に貢献することは何かを自分で考えて、実際に組織がよくなった、組織に役立てた経験を積んでいる方が強いです。

やりたいことだけを追いかけているだけではなく、地道に実績を残すことも大切です。最初から大きな実績を出せないとしても、例えば業務フローで書類の入力ミスが多かったら、入力ミスがないように仕組みやレイアウトの見直しをするというものでもかまいません。

転職市場で求められている人材は、言われたことを正確にできる人材ではありません。やらなければいけないことはきちんとできた上で、自分で工夫してなにかをやる人です。もし転職を考えているのであれば、そういう経験を今から作っていくようにするとよいと思います。無意識にできている経験もあると思うので、それを思い出して言えるようにしておくのもいいですね。

――実績を残そうにも、そもそも向いていない仕事をしなければいけない部署にいてなかなか芽が出ない、そんな方にはどのようにアドバイスをしていますか?

たとえば給与計算の仕事なのにデータ入力が苦手で、という人がいます。「私はデータ入力ですごい結果をだせます!」というのは現実には難しい場合でも、せめて合格ラインまでにしておくことが大切です。合格ラインはクリアしたうえで、社内を見回して自分が何かできることはないかな?こうしたら会社がもっとよくなるんじゃないかな?ということを考えてみましょう。一例ですが、社内で勉強会を企画して社内の横の連携をつくることができれば、次の転職をするときに、勉強会の経験が組織開発などのアピールポイントにもなる可能性もあります。

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「天職」を見つけた人の共通点は感性とオープンマインド