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最前線クリニック院長が語る コロナ対策と診療の現場

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

コロナとの闘いは長期化を余儀なくされ、この感染症はある意味、私たちにとって身近な存在になりつつある。誰もがいつ感染してもおかしくない状況だからこそ、実際にコロナの診察や検査、そして治療がどのように行われるのかについて、ぜひ知っておきたい。呼吸器内科医で、『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)という著書を出した池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんに解説していただこう。

PCR検査を実施するためクリニックを改装

呼吸器内科を専門とする大谷さんのクリニックは、東京・池袋の中心部にある。こうしたクリニックは、新型コロナウイルスに感染した疑いのある人と医師が最初に接点を持つ、いわば最前線の1つだ。というのも、厚生労働省や日本医師会は、熱やせき、息苦しさ、だるさ、などの症状があって新型コロナウイルス感染症が心配な人は、まずは普段受診している「かかりつけ医」に電話で相談するよう呼び掛けているからだ。また、かかりつけ医のクリニックでPCR検査が受けられるところも増えている。

「唾液のPCR検査が実施できるようになったのは、7月下旬以降です。そのために、機械を導入して陰圧スペースを作りました。ほかにも、受付をアクリルのガードで覆ったり、待合室ではソファを片づけ、椅子の間隔をあけたり、クリニックでは珍しい自動精算機も導入し、窓も1つ増設しました」(大谷さん)

新型コロナウイルスがさまざまなものの表面でどれだけ感染力を保っているのかをテストすると、紙幣や金属では数日たっても感染力があることがわかる(参考記事「マスク表面には触らない! 新型コロナ7日後も感染力」)。そのため、自動精算機は接触感染の予防になると考えらえる。

かつて、PCR検査を受けるための目安が「37.5℃以上の熱が4日以上続いた場合」といわれていたのは、検査できる数が限られていたためでもあった。現在は、東京都だけで1日に数千件の検査が実施できる。それは、民間の検査会社が活用できることと、クリニックでPCR検査の唾液検体を採取できるようになったこと、そして検査に対して保険が適用されるようになったことが大きい。

PCR検査を行うときの判断基準は?

それでは、新型コロナウイルスの感染が疑われる人は、どのようにして診察を受けるのだろうか。

新型コロナウイルス感染症の症状

「新型コロナの症状は、表のように実にさまざま(N Engl J Med. 2020; 382: 1708-1720.)。発熱やせきなどの割合が高く、倦怠(けんたい)感やたん、息切れなどが2~3割の患者に見られ、嘔吐(おうと)や下痢など、消化器の症状は比較的少ないといわれています。風邪やインフルとも共通しているところも多く、若者を中心に軽症の人も多くいるため、診断を難しくしている側面があります。そのほか味覚や嗅覚の異常もあります。こうした症状から感染が疑われる場合、まずはクリニックに電話をしていただくことになります」(大谷さん)

大谷さんのクリニックはすべて予約制だ。前日や当日でも予約できる。コロナ疑いの患者の場合は、クリニックの滞在時間をなるべく短くするため、電話で問診を行うという。

「新型コロナウイルスの感染が疑われる、発熱などの症状を訴える患者さんが、定期通院されているぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんと一緒にならないようにしなければなりません。そのため、コロナ疑いの患者さんはお昼休みの時間帯か、その日の診療の最後に診ることにしています。大きな病院であれば、院内感染を防ぐために、レッドゾーンとグリーンゾーンに分けることができますが、うちは小さなクリニックなので、時間で区切って、レッドタイムとグリーンタイムを設けているというわけです」(大谷さん)

コロナ疑い患者の診察が終わると、使い捨ての防護服や手袋などは捨て、診察室などを消毒する。そのため、1人につき30分はかかるという。

重症化リスクの高い人、低い人の違い

診察の結果、PCR検査を行うかどうかは、どのように決めているのだろうか。

「総合的な判断になります。息苦しさや強いだるさ、高い熱など、肺炎をすでに発症している恐れがある場合は、CT(コンピューター断層撮影)をとるとともに、PCR検査を実施します。熱がそれほど高くはなく、咳など軽い風邪の症状だけの場合であっても、高齢の方や、糖尿病や慢性の呼吸器疾患(COPD等)など、新型コロナウイルス感染症において重症化のリスクが高い人は、やはりPCR検査をやったほうがいいと考えます」(大谷さん)

厚生労働省がまとめた「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2.2版」によると、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子として、65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患のほか、BMI[注1]30以上の肥満が挙げられている。また、まだ知見がそろっていないので重症化のリスク因子とはいえないが注意が必要なものとして、喫煙歴や妊婦、がんなどがある。

[注1] BMI(体格指数)は、体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で求められる。

新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子

「風邪のような症状だけの場合は、判断が難しくなります。検査能力が拡充されてきたとはいえ、すべての風邪患者さんにPCR検査を行っていては、検査会社がパンクしてしまうかもしれません。そこで、同居の家族がいるかどうかなどの要素も含めて判断することになります」(大谷さん)

新型コロナウイルスに感染した人のうち、およそ8割は、風邪のような症状だけで1週間ほどで回復するといわれている。また、ドイツ[注2]や台湾[注3]の研究では、感染者が発症してから何日目まで感染力のあるウイルスを体外に排出しているのかを調べたところ、だいたい7日目までだった。

[注2]Nature. 2020;581:465-469

[注3]JAMA Intern Med. Published online May 1, 2020.

「風邪のような症状だけの患者さんで、PCR検査を行わなかった場合は、発症から7日目までは自宅で療養されることをお勧めしています。つまり、熱やせきの症状が治まっても、発症から7日目までは家にいてくださいということです。そうすれば、万が一、新型コロナウイルスに感染していたとしても、ウイルスを広めてしまう可能性をぐっと下げることができるからです」(大谷さん)

最近はIT機器を活用したリモートワークも普及してきた。熱が下がり元気になったけれども、発症からまだ7日間のうちは、自宅でリモートワークするという選択肢もある。

「ただし、同居の家族がいるとなると話は別です。家庭内感染を起こしてしまう恐れがあるからです。先日、私のクリニックを急性扁桃腺炎で受診した20代の女性は、両親と同居していたこともあり、PCR検査を実施したところ、陽性が判明しました。もし検査をせず、両親に感染し、さらにその勤め先でクラスター感染が発生したら……と想像すると、PCR検査を行ってよかった、と思いました」(大谷さん)

大谷さんのクリニックでは、PCR検査のための唾液検体を採取する。採取を含めた診察の際は、感染予防のため、ゴーグルやマスク、防護服などの装備をつける。そして、検体は、民間の検査会社へ送られ、たいてい翌日には結果が判明する。

「風邪症状だけの患者さんであっても、検査会社に余裕があれば、PCR検査を実施して家庭内感染を防げるのは意義のあることです。軽症の陽性者はホテルで療養することも可能だからです」(大谷さん)

重症化を防ぐためにどんな治療を行うか

PCR検査の感度は70%といわれている。つまり、実際に感染していても3割の人は「陰性」という結果が出てしまうのだ。「偽陰性の可能性も考慮して、陰性だった場合でもCT画像などで肺炎の症状が認められれば、私の古巣である東京医科歯科大学などと連携して治療に当たります」(大谷さん)

それでは、PCR検査が陽性で新型コロナウイルスへの感染が確認されたときは、どのような治療を行うのだろうか。「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2.2版」によると、症状の重さによって対応が分かれ、軽症の場合は基本的に入院せず、中等症以上になると入院になる。

重症度分類(医療従事者が評価する基準)

「入院した場合は、より重症になるのを防ぐというのが治療方針になるといえます。すでに新型コロナウイルス感染症の治療薬として、元はエボラ出血熱の抗ウイルス薬として開発されたレムデシビル(商品名:ベクルリー)や、アレルギーや自己免疫疾患など、幅広い炎症性の疾患に使われているステロイド薬であるデキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)などが活用されています。また重症例では血栓症(血液の塊ができて血管を詰まらせる病気)の合併頻度も高いので、抗凝固薬も利用します。なお、人工呼吸器や人工肺(ECMO)は、これらによって重症肺炎が治るわけではなく、回復するまでの時間稼ぎのため、つまり肺を休めるのに有効なものです」(大谷さん)

こうした治療に関する知見に乏しかった初期の頃は、対症療法によって体の免疫がウイルスを退治するのを待つしかなかった。「私の後輩が3月に感染したときは、人工呼吸器や人工肺(ECMO)などを集中治療室で使用しました。できればそこまで重症化せずに回復するに越したことはありません」(大谷さん)

新型コロナウイルス感染症は、回復してもさまざまな後遺症が残るケースがあることが分かっている。大谷さんの後輩の医師も、肺の一部に線維化が残り、息切れがあるという。

「それでも彼は、回復すると、再び現場に戻って患者さんを診ています。現場が好きで、1人でも多くの患者さんの不安を取り除きたいと…。彼のことをとても尊敬しますし、彼のような仲間がいて本当に良かったと思っています」(大谷さん)

(写真 鈴木愛子、図版制作 増田真一)

[日経Gooday2020年9月15日付記事を再構成]

大谷義夫さん
池袋大谷クリニック院長 呼吸器内科医。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。米国ミシガン大学に留学などを経て、2009年に池袋大谷クリニックを開院。全国屈指の呼吸器内科の患者数を誇るクリニックに。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビ等で情報発信を行う。著書に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など多数。最新刊は『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)。

肺炎を正しく恐れる

著者 :大谷 義夫
出版 : 日経BP
価格 : 935円 (税込み)

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