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米国では濃厚な料理に「ふなぐち」を合わせることも

「ふなぐち」は濃厚な味わいだから、焼き鳥などの和食はもちろん、現地で好まれるピザやステーキなどにも合う。「今までの日本酒とは全然違う。こんなにストロングな日本酒があったなんて知らなかった。普段食べているフライドポテトにもよく合うよ、と喜んでいただくこともあります」と高澤氏は顔をほころばす。

サンフランシスコでも、地元で有名なハンバーガー店で「ふなぐち」が人気だ。店ではビールを多くそろえているが、その脇に「ふなぐち」も陳列。実際に高澤氏が、肉汁したたるシグネチャー・ハンバーガーと「ふなぐち」を合わせてみたら、想像以上のおいしさで、売れている理由に納得がいったという。

国内では「ふなぐち」は200ミリリットル入り缶からスマートパウチ1500ミリリットル入りまで、さまざまなサイズと容器で販売されている。一方、海外では200ミリリットル入り缶と300ミリリットル入り瓶と基本的には小ポーションで長年販売してきた。ちなみに缶入りは720mlに比べると、物流コストが5~6割に抑えられるメリットもある。

世界の「ふなぐち」ファン。海外でも菊水の着ぐるみ姿が定着

「“まずお試しで200ミリリットル”であれば、日本酒を全く知らない外国人でも気軽に注文しやすい。海外進出して約25年、このやり方でローカルのお客様に魅力が浸透してきた。時間はかかりましたが、今では和食店以外でも味わっていただけるようになってきました」(高澤氏)

一方、アジアでもタイを拠点にASEAN各国へ輸出する。タイでは意外に「ふなぐち」よりも辛口タイプが人気だとか。「バンコクの和食店に入ると、日本にいるのかタイにいるのか一瞬わからなくなる。それくらい日本と同じクオリティーの和食が提供される。朝に豊洲から輸送された鮮魚が夕方には刺し身として食べられるので、淡麗辛口の酒などが合うのです」と高澤氏。米国の和食店だとフュージョン系が多くローカライズされているが、タイの和食店は日本の味そのものなので、合わせたい酒も異なるという。

コロナ禍により、人々のライフスタイルは変化しつつあるが、「人間の中身がガラリと変わるわけではない。“飲食店で楽しみたい、お酒を飲んで和みたい、友人と語り合いたい、知的好奇心を満たすために興味深い食体験をしたい”。そういった人間のサガは基本的には変わらない」。高澤氏はそう信じている。

「日本酒はやはり楽しいし、おいしい。その中で、お客様を窮屈にさせたり、緊張させたりするのではなく、リラックスしてもらい、気軽に楽しめるお酒の魅力を、これまで以上ににアピールしていきたい」と高澤氏は意欲を見せる。コロナ後の新しい日本酒の楽しみ方をお客様に提案するため、今こそ飲食店と一緒に知恵を絞るべきだと考えている。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)


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