それが最も端的に表れているのは、トランプ大統領に対する報道だ。実業家出身のトランプは多くの点において、「異質の政治家」である。米国メディアの民主党寄りの報道に対して、トランプは「フェイクニュース」と切り捨てたが、従来の共和党の政治家でそこまで強気に接した者はいない。

これに対して、ニューヨーク・タイムズやCNNなどの主要メディアは、「トランプこそ報道の自由を脅かす敵」と猛反発し、トランプと共和党に一斉攻撃を始めた。

そもそも現代ジャーナリズムはいまもなお、客観的で公平な報道を目指しているのだろうか。答えはノーだ。ハーバード大学ケネディスクールの研究機関、ショレンスタイン報道・政治・公共政策センターが行った最新の調査によると、とりわけドナルド・トランプ大統領に関する報道は客観的でも公平でもないという。2017年5月18日、ショレンスタイン・センターはトランプ政権の最初の100日間のニュース報道について、総合的な分析結果を発表した。(中略)六つの報道機関は、トランプの最初の100日間をひどく否定的な言葉で表した。最も容赦なかったCNNとNBCでは、トランプに関する否定的なニュースと好意的なニュースの比率は13対1と否定的が大きく上回っている。
(第1章 政治的思想が色濃く反映されるニュース 36~37ページ)

トランプ大統領に対する誹謗中傷の最たるものが、ロシア疑惑(2016年の大統領選挙でロシアと共謀して選挙に勝つためにさまざまな工作をしたという疑い)だった。民主党の要求によって、ロバート・モラーが特別検察官に任命され、疑惑に関する捜査を徹底的に行われたが、結局、共謀の証拠を見つけることはできなかった。

トランプ陣営が2016年の大統領選挙でロシア政府と共謀したとする、民主党を支持するメディアが流したストーリーは、完全なつくり話という結果になった。この2年半というもの、このストーリーは毎日のように朝から晩までテレビや新聞やインターネットで「報道」され、メディアが考え出したさまざまな陰謀、策略、疑惑、推測、仮定、結論が伝えられてきた。(中略)
 報道機関のなかで並はずれて無責任な報道をしたのは、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストだ。両新聞ともドナルド・トランプの大統領選挙とロシアの関係についてスクープし、ピューリッツァー賞を受賞している。ニューヨーク・タイムズ紙のディーン・P・バケット編集長は、同紙のジャーナリズムを誇りにしていたが、それは特別検察官が疑惑は事実でないと否定してからも変わらないようだ。「私たちはロシアに関する記事をたくさん書いたが、後悔してはいない。違法性があったかどうかを決めるのは、私たちの仕事ではない」と言う。だが問題は違法性ではなく、疑似イベントを本当のニュースとしてしきりに報道し続けたことだ。
(第5章 ニュース、プロパガンダ、事実ねつ造 178~179ページ)