フェラーリF8トリブート 3000万円の「鼓動」震えるV8

2020/11/15
V8エンジンを搭載したフェラーリF8トリブートの乗り味を確かめた(写真:荒川正幸、以下同)
V8エンジンを搭載したフェラーリF8トリブートの乗り味を確かめた(写真:荒川正幸、以下同)
webCG

「フェラーリF8トリブート」に試乗。一般公道で試す限り、この最新ミドシップベルリネッタの仕上がりに隙はまったく見られない。純粋な内燃機関車としては最後のV8モデルといううわさがあるが、その真偽は別に、フェラーリはこれでひとつの頂点に達したといえるだろう。

フェラーリはエンジンだ

うっひゃー、と思わず叫んでいたかもしれない。それほど鋭く軽く鮮烈だ。7段DCTのオートモードでも全開にするとレブリミットの8000rpmまできっちり回って、文字通り電光石火でシフトアップ、6000rpmぐらいからまさに息つく暇もなく再びレブリミットに達する。これはもう何というか、自然吸気のレーシングユニットかマルチシリンダーのオートバイではないか。これほど切れ味抜群で軽々と吹け上がるV8エンジンは他にない。落ち着いてから観察すると1速では70km/h、2速でも100km/h程度までしか伸びないようで、最高速340km/hを誇るツインターボのスーパースポーツカーとしてはギアリングが低く、それもあって瞬時に吹け上がる。もしMTだったら操作が間に合わないだろうから、今やDCTのみの設定は当然ともいえる。

「488GTB」の後継モデルとしてデビューした「フェラーリF8トリブート」。ボディーの随所に歴代V8モデルへのオマージュを込めた意匠が用いられている

2019年のジュネーブショーでお披露目されたF8トリブートは、フェラーリの中核を担うミドシップV8シリーズの最新型である。そのエンジンはスタンダードモデルとしてはフェラーリV8史上最強をうたう3.9リッター直噴V8シングルプレーン・ツインターボユニットで、最高出力720PS/8000rpmと最大トルク770N・m/3250rpmの怒濤(どとう)のパワーを生み出すだけでなく、蒼天(そうてん)に突き抜けるように晴れ晴れと回る。ピークパワーとトルクは先代に当たる「488GTB」に比べて50PSと10N・m増しだが(ということは「488ピスタ」と同じ)、何よりもさらに研ぎ澄まされている。

こんなエンジンだからステアリングホイールのリム上部に備わるレブインジケーターはこけおどしでもお飾りでもなく、まったくの実用的装備である。目の隅にでもとらえておけば、リミッターに当たって慌てなくて済むからだ。720PSを生み出す回転数はレブリミットだが、そこからさらに突き抜けていく勢いがあり、ターボエンジンでありながらまったく頭打ち感がない。もちろんターボラグのかけらもなく、直線的にパワーの奔流が増していく感覚だ。一応はダウンサイジングターボということになり、最新のエミッション規制に適合するべくGPF(ガソリンパティキュレートフィルター)も備わるというが、フェラーリのそれはものが違うと舌を巻くしかない。

ボディーサイズは全長×全幅×全高=4611×1979×1206mm。「488GTB」よりも長く広く、そしてわずかに低くなっている
フロントにもダウンフォースを生み出す「Sダクト」はバンパー中央から取り込んだ空気をボンネット中央の穴から排出する仕組み
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