音楽フェスもウィズコロナ オンラインは豪華出演者
今年は新型コロナウイルスの影響で、夏の風物詩の音楽フェスが全国で相次いで中止や延期に追い込まれた。「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」「フジロックフェスティバル」「ライジング・サン・ロックフェスティバル」などでは、せめてファンに喜んでもらおうと、過去の映像を無料で配信するといった取り組みも行われた。
ライブに比べて、出演者や観客の数も多くなる音楽フェスは、感染リスクがより高まることが、開催へのハードルを上げている。また、観客の人数制限も悩みの種の1つだ。そんななかでも、徹底した感染対策を行い開催にこぎつけた音楽フェス、またオンラインに場所を移して実施するケースも出てきている。
8月8、9日に大阪城ホールで観客を入れて開かれたのが、「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」。奥田民生、サンボマスター、10-FEETなど15組のアーティストが出演、両日で約9000人を集めた。
このフェスは関西のイベントプロモーター8社と、大阪のFMラジオ3局がタッグを組んで実現。入場時の検温や消毒、ソーシャルディスタンスを保った座席配置など、徹底した感染対策の下で行われた。
その1社であるサウンドクリエーターの安福元柔氏は「当日だけでなく開催前からホームページやツイッターなどで感染対策について積極的に発信していた」と明かす。特に換気システムの周知は好評だったそうだ。また当日は、各アーティスト25分間の演奏時間が終わる度に会場のドアを開放、30分間の換気時間も設けたという。
清掃・除菌に関してはダスキンがクリーンパートナーに。トイレをはじめ、手すりやドアノブに至るまで館内全体を除菌した。「ダスキンのユニフォームを着た清掃員を会場で見て、来場者も少しは安心してくれたのではないか」(安福氏)。
一方、オンラインで開催する音楽フェスも目立つ。「SWEET LOVE SHOWER」や「a-nation」ではオンラインならではの工夫や特色が見られた。
8月29日に無料配信、30日に有料配信を行ったのが「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE」。今年はSHOWERを、「共有」を意味するSHAREに変えて臨んだ。KICK THE CAN CREWや高橋優ら15組が登場し、3つのステージで同時生配信を実施した。
8月29日に開催された「a-nation online 2020」でも複数のステージを展開。3つの有料ステージと、2つの無料ステージの全5ステージに浜崎あゆみや倖田來未、DA PUMPなど100組超の出演者が登場した。
また今回は、SUPER JUNIORといったK-POP勢に加え、中国や台湾の人気アーティストも出演。他にもフェス感を演出するため、ウーバーイーツと組んで一部地域限定でフードの注文をできるようにしたり、出演者のオリジナルグッズをオンラインで販売したりした。
今後の音楽フェスは、リアルの場ではどうやって安全に楽しんでもらえるか、オンラインではどこまで「+α」の価値を付けられるかが課題となっていきそうだ。
(日経エンタテインメント!10月号の記事を再構成 文/中桐基善)
[日経MJ2020年10月16日付]
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