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ホテル「モガナ」は創業3年目を迎える 繁田善史・ブレイブマンホスピタリティ&リゾーツCEO

ホテル「モガナ」は創業3年目を迎える 繁田善史・ブレイブマンホスピタリティ&リゾーツCEO

創業1年目から「ミシュランガイド」の三つ星(スリーパビリオン)評価を保ち続ける京都市のホテルが「MOGANA(モガナ)」だ。レストランも客室内テレビもない宿に、2018年のオープン以来、アートやファッション業界の泊まり客が絶えない。わずか23室の宿に、デザイン好きを呼び込むのは、日本文化に根差した、オーナー夫妻独自の美意識だ。

<<(上)1年目から三つ星 素人力で「好き」凝縮した23室の宿

ありきたりのデザインホテルとは趣が異なる。いわゆる「デザインホテル」は建物や内装のスタイリッシュなセンスを売り物にしているケースが多い。「モガナ」も見た目上のデザイン性は十分すぎるほどに高いが、多くのデザインホテルと決定的に異なるところが一つだけある。外観はもちろん、内装、調度品、サービスに至るすべてがオーナー夫妻の目利きで選ばれている点だ。

一般的なホテルビジネスでは経営者と設計・内装・サービス担当者が分かれていて、誰かのデザインポリシーで全体を貫くのは難しい。予算的な制約や業界の慣習もまぎれ込みやすい。部屋に置かれる衣類や雑貨、消耗品を選ぶ人の資質にはばらつきがある。当たり前の話だ。服にも食器にもスキンケアにも通じた人材がそうそういるわけもない。分業にならざるを得ず、デザイン意識はまとまりを欠きがちだ。

競合他社との横並び意識や、批判を避けやすい無難な選択などが加わって、ますますホテルは個性を失っていく。納品実績を武器に売り込んでくる専門業者がさらに均質化を進める。バスルームや洗面スペースに置かれているアメニティー類をみれば、大型ホテルはかなり似たり寄ったりの印象がある。

分業と合議で決まる仕組みはホテルをつまらなくしがちだ。しかし、「モガナ」ではあらゆる調度品、アメニティーなどに関してオーナー夫妻が自ら決断を下している。そして、それぞれの由来を尋ねれば、待ってましたとばかりに語り出す。しかも熱っぽく。なぜなら、「自分たちがほれ込んだ品しか置いていない」(繁田氏)からだ。「こんなホテルがあったらいいな」という思いを託した、古語の終助詞「もがな」はお飾りではない。

泊まり客が触れる、部屋にしつらえてある品々にはオリジナルに企画されている物が少なくない。つまり、出来合いの市販品ではない。管理の手間を省くことがホテル運営のポイントであることからすれば、これ自体がかなり異例といえるが、繁田氏は「旧来のホテル経営の常識に迎合するつもりはない」という。

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