認知症に「コグニサイズ」 運動+脳トレで機能アップ

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運動と脳トレを組み合わせた「コグニサイズ」で認知症対策。写真はイメージ (C)Katarzyna BiaAasiewicz-123RF
運動と脳トレを組み合わせた「コグニサイズ」で認知症対策。写真はイメージ (C)Katarzyna BiaAasiewicz-123RF
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高齢化が進む日本では認知症の患者が増えている。厚生労働省の推計によると、団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症患者が700万人を超えるという。これは65歳以上のおよそ5人に1人が認知症を発症する計算だ。では、対策はあるのだろうか。もちろん、将来的には認知症に効く薬が一般にも普及するかもしれない。だが、もっと身近で、現時点で効果が確認されているものもある。今回はそんな運動を紹介しよう。

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発症の危険因子に数えられ、認知症リスクとされる運動不足。ただ、昨今は新型コロナウイルスの感染リスクもあり、高齢者だと気軽に出歩けない状況だ。そんな中、家で取り組むのにうってつけなのが、認知(コグニション)トレーニングと、簡単な動きのエクササイズを組み合わせた「コグニサイズ」。10カ月続けた結果、記憶力が向上したなどの効果も検証されているという。

例えば、「コグニステップ」。やり方は、まず足をそろえて直立した状態でスタート。1、2、3……と声に出して30まで数えながら、1で右足を右側に踏み出し、2で元の位置に戻す。3で左足を左側に踏み出し、4で元に戻すという動きを繰り返す。足を踏み出すときには、体重を踏み出した足にしっかり乗せるよう意識する。これに、3の倍数のときは声を出さず手をたたくという頭を使う要素を組み合わせる。

慣れてきたら、左右に加え前後にも足を出す。3の倍数に加え、5の倍数でも手をたたくなどして難易度を上げる。今回コグニサイズのやり方を指南してもらった、イベントでの指導などを行っている国立長寿医療研究センターの堤本広大氏は、「最初はできなくて、練習してできるようになるプロセスが頭を使うという点で重要。少し難しく感じるくらいがベスト」と言う。

「散歩中にしりとりをするのも、体を動かして頭を使うという意味ではコグニサイズ。このときは考え込んで立ち止まってしまう人もいるので、事故などが起きないよう、同伴者が付くなど気を配ってほしい」(堤本氏)。重要なのは長く続けること。無理の無い範囲で楽しみながら生活に取り入れたい。

(取材・文 日経トレンディ編集部)

[日経トレンディ2020年5月号記事を再構成]

堤本広大さん
神戸大学医学部保健学科卒、同大学大学院保健学研究科博士課程修了。修士課程時より、国立長寿医療研究センターにて研究員として勤務し、日本学術振興会特別研究員PDを経て、国立長寿医療研究センタープロジェクトリーダーに就任し、現在に至る。老年学を専門分野とし、高齢者の健康寿命延伸や認知症予防・遅延を目標とした臨床研究に従事し、多数の医学論文や専門書籍を執筆。
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