トップ解任→返り咲き 支えてくれた武蔵高恩師の言葉瀬戸欣哉・LIXILグループCEO(下)

瀬戸欣哉・LIXILグループCEO
瀬戸欣哉・LIXILグループCEO

LIXILグループ最高経営責任者(CEO)の瀬戸欣哉氏(60)。住友商事時代にMonotaRO(モノタロウ)の前身となる会社を起業、2016年にLIXILの経営トップとなるが、解任騒動を経て19年に返り咲いた。瀬戸氏は中高一貫の名門私立高、武蔵高校・中学の出身だ。剛腕経営者となる原動力を武蔵で培った。

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武蔵高校は全国大会を3度も制覇したバスケットボールの強豪校でもあった。

武蔵時代に唯一はまったのがバスケットボール部でした。ただ長身の生徒や運動能力に優れた生徒が集まっているわけではない。畑龍雄という優秀なコーチがいたからです。数学の幾何の教師でしたが、本場米国のバスケ技術やノウハウを身につけた日本を代表するバスケの指導者だった。

非常に厳しい先生で、実を言うと、人生の中でただ1人、怖いと思った人です。60年間生きてきたけど、畑先生以外に面前で緊張した人はいない。今も先生の言葉が経営者としての支えになっている。

「せっかくへばったんだからガンバレ」というのが畑先生の口癖だった。試合は常に万全な状態でプレーできるわけではない。当然後半になると、体力が消耗して疲労してシュートも思い通りに入らなくなる。むしろそんな困難な状況を練習でこそ積極的に受け入れ、ベストなプレーをしようというわけです。

中1で入部した時はまだ小柄だったので、ポイントガードをやり、高校で身長が184センチメートルまで伸び、最後はセンターをやった。必死に練習したが、結果は出せなかった。我々の代はインターハイにも出場できず、恩師の指導にはむくえなかった。私自身にも才能はなかったと思う。

しかし、社会人になって先生の言葉が響いたことが何度もあった。苦境に陥ると、逃げたいと普通の人は思うかもしれないが、苦境で成功すれば怖いものはなくなると思い、むしろ面白いじゃないか、よしやってやろうじゃないかと。こんな風に考え、より厳しい局面にあえて立ち向かえるようになった。

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