「コロナ前より今がいい」8割 ウマノミ討論会
日経ウーマノミクス・プロジェクト
新型コロナウイルスの流行で、たくさんの人が働き方の変化に直面した2020年。これからどう働いて、どんなキャリアを描くか――。女性が活躍しやすい社会をめざして全国27万人の個人会員が参加する日経ウーマノミクス・プロジェクトは10月3日、「ウィズコロナ」の働き方とキャリアをテーマにオンラインイベントを開催しました。ゲストスピーカーと日経記者が参加者の疑問や悩みに答える1時間30分。ライブアンケートでは、「コロナ流行前より今の生活がいい」と8割の参加者が答え、新たな自分へ踏み出すヒントを受け取っていました。
オンライン開催で海外からも参加
秋晴れの土曜日。窓の外の爽やかな風景を背にした登壇者が語りかけるのは、カメラの向こうの参加者のみなさんです。日経ウーマノミクス主催イベントとして初のオンライン開催となった今回、日本各地からだけでなく、海を越えて米国など海外からも参加者が集まりました。
この日のゲストは積水ハウス住生活研究所長の河崎由美子さんと、キャリアとダイバーシティーの専門家、アパショナータ代表取締役のパク・スックチャさん。日本経済新聞女性面の中村奈都子編集長がファシリテーター、畑中麻里デスクがサポーターを務め、参加者から寄せられた質問に答えていきます。
「これからの時代にどんなスキルが求められる?」「子育てしながらのキャリアアップの仕方とは?」。応募時に書き込んでもらった質問で圧倒的に多かったのはキャリアに関するもの。そのほか、テレワークにまつわる悩みや、50歳前後からのキャリアビジョンなど、多岐にわたるテーマに話は及びます。「自分の家事・育児の負担を減らして仕事に集中できる時間を確保するためには夫と"交渉"を」(パクさん)、「オンライン会議やSNSなど仕事の新しいツールは真っ先に取り入れ、周りと一緒にチャレンジするのがやりやすい」(河崎さん)――。専門家としての立場にとどまらず実体験を交えた実践的な助言が続き、チャット欄には「納得です!!」「ホッとしました」など次々と感想が書き込まれました。
「イスを置いて自分の空間を」「2020年末の自分をイメージ」
ゲストからのアドバイスタイムでは、河崎さんは住生活研究所長として監修した在宅勤務の「5つのTips(ティップス=ヒント)」を解説しました。新型コロナ流行による外出自粛の広がりを受け同研究所が実施した全国調査をもとに、「広くて仕事がしやすいダイニングテーブルを部屋の隅、窓際に置いて落ち着いて仕事ができるようにする」といった具体的なアイデアを紹介。「キッチンや洗面所、玄関にイスを一つ置くと自分の空間ができる」というコツを披露すると、参加者からは早速、「どんなイスがおすすめですか」と質問が飛んでいました。
パクさんが教えてくれたのは「一歩の踏み出し方」。民間調査で、仕事上のチャレンジを諦めた経験のある女性で一番多かった理由が「自信が持てなかったから」だったことを取り上げ、「自信は身につけられるスキルみたいなものだ」と指摘しました。まずはチャレンジすると決める、決めたら自分の実績や強み、うまくいったことをたくさん書き出してプラスの感情を持つと行動しやすくなると説明。「今年の12月31日にどんな自分になっていたいか。今から3カ月、目標をもって挑戦してみて」と参加者を励ましました。
会員と力を合わせた紙面づくり
最後に実施したライブアンケートの質問は、「新型コロナ流行の前と現在、いずれかを選ぶとしたらどちらの生活がいいか」。30秒の回答時間では、8割に迫る参加者が「コロナ後」の現在がいいと答えました。
日経ウーマノミクスは女性面と連携して今春から複数の調査を実施し、紙面などで結果を伝えてきました。コロナ禍でテレワークが拡大した4月の調査では企業や個人の対応を特集。今回のオンラインイベントの直前には、働き方の変化の現状についてアンケートを実施、女性面で特集をまとめました。イベントでは畑中デスクがこの特集について解説。「テレワークがいまどうなっているか、やめた企業もあるんじゃないか、元に戻ってしまっているんじゃないかと考え調査を始めた」。しかし結果は、調査に回答した会員の過半数がキャリアの見直しに動き、転職や副業、起業、学び直しを具体的に考えたり、行動を起こしたりしていた――。紙面では伝えきれなかった声を紹介し、この半年、ウーマノミクス会員の協力を得てつくった紙面を振り返りました。
「コロナ後」の生活がいいと多くの参加者が答えたのを受け、イベントの最後に中村編集長は「これからの時代のほうが女性にとって生きやすいはず。この流れが元に戻らないように新しい生活を進めていけたら」と呼び掛けました。日経ウーマノミクスではこれからも会員のみなさんとともに、新しい働き方、キャリアの描き方を考えていきます。
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