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卓球、平野早矢香さん プレー以外の8割の時間で勝つ

元五輪メダリストに聞く(中)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

ロンドン五輪卓球女子団体で銀メダルを獲得し、引退後はスポーツキャスターや朝のニュース番組のコメンテーターとして活躍中の平野早矢香さん。第2回は、5度の日本一に輝き五輪でメダルを獲得できた理由や、現役引退を決意した経緯などを聞いた。

◇   ◇   ◇

――2003年の18歳のときに、念願の全日本卓球選手権のシングルで初優勝され、そこから3連覇を果たされます。追いかけられるプレッシャーもあったと思うのですが。

幼い頃からずっとトップに立てなかった選手だったので、全日本で1位になればみんなが褒めてくれて、「人生バラ色」といった景色が見えるのだろうと想像していました。でも、現実は違いました。「こんなにレベルの低い全日本選手権の決勝戦は初めてだ」「今回の優勝はまぐれだろう」「日本で勝てても世界では勝てない」などと周囲の声や評価が耳に入ってきて、悔しかったですね。もう1回勝たなければ、あるいは世界で勝たなければ認めてもらえないんだなと思いましたし、上に立てば立つほど、今まで以上のプレッシャーやいろんなものを背負うのだと感じました。

私が尊敬する元メジャーリーガー選手のイチローさんも、想像を絶するプレッシャーや苦悩を抱えていらっしゃったんだろうなと思います。当事者の立場に立たないと、人の本当の気持ちなんて分からない。そんなことも考えながら人と接していかなければいけないなとも思いましたね。

プレーしていない80%の時間で、表情やしぐさを観察

――3連覇を含む5度の優勝を果たしますが、達成できた要因は?

色々ありますが、一つ私が意識していたこととして「表情やしぐさから相手の心を読むこと」が挙げられます。当時の卓球の試合では、実際にプレーをしているのは全体の19%だというデータがあります。つまり残りの約80%の時間は、ボールを拾いに行ったり、ベンチでコーチと話したりする時間。そんな80%の時間で、私は相手の選手の目や表情、しぐさを観察しました。目がキョロキョロしていたり、コーチがいるベンチをちらちら振り返って見ていたりすると、不安がっていたり動揺している可能性が高い。そのときに一気に畳み掛けるような攻撃をしたり、次の作戦を決めたりしていました。逆に言えば、大切なゲーム中、自分の心の変化を表情に出さないように意識すれば、相手に悟られることもありません。かなり細かいことですが、こういったことも勝敗に大きく影響すると私は考えています。

――2008年に初の五輪(北京)に出場されましたが、かなり緊張したとか。

今振り返ると、北京五輪の前から精神的に追い詰められていましたね。実際に団体と個人種目で五輪の舞台に立つと興奮しましたし、世界選手権よりも周囲やメディアから注目されたので、日本を背負っている責任をより感じました。団体の初戦の第1ゲームでサーブを打つときに手の震えが止まらないぐらい、想像以上の緊張とプレッシャーがありましたし、五輪独特の雰囲気にのまれて、平常心を失っていたとも思います。自分の力はある程度出し切ったものの、結果的に団体で韓国との3位決定戦で敗れ、大舞台でメダルをつかむための技術もメンタルも足りないんだなと痛感しました。

そんな悔しさがあったからこそ、2012年に開催されるロンドン五輪は、絶対にメダルを獲得したいという気持ちになりました。

――福原愛さんや石川佳純選手など年下のライバルがいるなかで、ロンドン五輪の切符をつかみ取るのは大変だったのでは?

卓球は台を囲んだら年齢など関係ない競技です。私の想像を超えるスピードで成長してくる若手が多い中で戦うのは、必死でした。また、この20年で卓球のルールや道具の規格がどんどん変化していった中で、順応力が高い若手に対して、私はそれにアジャストしていくのが難しかったですね。

北京五輪が終わって、ルール改正そして自分の卓球を大きく変えるために用具などを見直したこともありましたが、調子を崩して成績が落ちてしまったこともありました。ただ、ロンドン五輪では、何としてでもメダルを獲得するという気持ちを持ち続けて練習に取り組み、シングルの出場権は獲得できなかったものの、団体戦での出場権を勝ち取りました。何より、全日本女子チームとしても、メダルを獲得するためには絶対勝たなければいけない相手である、アジア圏のチームの技術を徹底的に分析して、かなり細かく強化し対策を立てました。そんなチームとしての準備が、福原愛さんや石川佳純選手と一緒に大舞台で銀メダルを獲得できた大きな要因だと思います。

――2016年のリオデジャネイロ五輪への出場も目指されます。

さらに若手たちが成長する中で、伊藤美誠選手(リオ五輪団体銅メダリスト)の成長スピードがすさまじく、たった1年で世界ランキングを抜かされました。そして2015年9月の代表選考会で、私は五輪の切符をつかめませんでした。さすがに気持ちの整理がつかなかったですね。東京五輪を目指すとしても、2020年の私は35歳。当時、故障で自分の支えだった練習が思うようにできなくなって、心身のバランスが崩れていきました。2016年1月の全日本卓球選手権が終わって、改めて、リオよりも東京五輪の方が出場できる可能性は低いと感じ、引退を決意しました。

好きなものを食べて、1日6時間以上練習する

――引退後、どのような精神状態になったのでしょうか。

母が心配していたんです。現役時代の私はオン・オフの切り替えが苦手で、常にオン状態でした。競技のことが頭から離れる時間がなかったんですね。だから、「この子、引退したら抜け殻みたいになるんじゃないかしら」と思われていたみたいで。セカンドキャリアなんて全く考えていませんでしたし、白紙状態だったので、のんびりしたいなと思っていました。でも結局、自動車の免許を取りにいきながら卓球の指導をして、流れに身を任せていたらイベントや解説のお仕事が舞い込んできて、結局せわしなく今も働いています(笑)。

現役時代は理論派だった私に対して、たくさんのコーチの方々が色々な指導方法で強化してくださいました。面白いことに、同じ一つの技術を教える場合であっても十人十色、それぞれ表現や指導方法が変わります。現役の時に多くの方から教えていただいた指導方法や伝え方が、現在の私の仕事にとても役に立っていて、解説や指導時に生かされていると感じています。

――体のコンディショニングづくりでも、理論的に考えて実践されていたのでしょうか。

実は、結構アバウトでしたね(笑)。栄養やコンディショニングづくりなどの知識は頭に入れています。栄養バランスがいい食事を取ることは努力していましたが、「この栄養素が足りない」「これは食べてはいけない」「体重を常に気にする」などという節制やコントロールを細かくすることはあまりしませんでした。食べたいものは食べるし、体重の変動もさほど気にしませんでした。

引退前は故障もあったので、もうすこし体重のコントロールができていればよかったかなと思いますが、それよりも、食べ物を節制することで、ストレスを感じたくはなかった。多少食べ過ぎても、1日6時間以上のミキハウスの厳しいトレーニングをすれば体重は自然に落ちるよ、という意識がありましたね(笑)。

(第3回に続く)

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎)

平野早矢香さん
1985年栃木県生まれ。5歳で卓球を始め、中学から宮城・仙台へ卓球留学。高校卒業後、ミキハウスに入社し、18歳で全日本卓球選手権・女子シングル初優勝。その後、3連覇を達成し、通算5度の日本一に輝く。2008年北京五輪団体戦4位、2012年ロンドン五輪団体戦で銀メダルを獲得。現在はスポーツの解説、講演会など活動の幅を広げている。著書に『卓球メンタル強化メソッド』(実業之日本社)など。

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