2020/10/13

――業界ではスーツ離れも指摘されています。コロナ禍のもとでの仕事の装いにはどんな考えをお持ちですか。

「みんながカジュアル化して、ビジネスマンがスーツを着なくなると、逆に、スーツってかっこいいなと思える時代になっていくと思います。社交的に人と遊んだり、コミュニケーションをとったりするうえで、よそ行き服としてのスーツがクローズアップされ、きっと必要なアイテムになっていくでしょう」

ファッションは相手への「態度」映す面も

――ハレのスーツということですか。

「そう。装いはメリハリがないと、つまらない。スーツはもっともっと自由になっていくはずです。80年代、僕らが若い頃は色もののスーツしか着ませんでしたよ(笑)」

「社会人、男性として、生活の中でいろいろな人とコミュニケーションをとるなかで、装うということは自分のアティテュード(考え方)をいかに表現するかということにつながります。日本ではまだまだ、おしゃれをネガティブ、余計なことととらえがちな人が多いのですが、装うことを恥ずかしがらずに、自分を生かすということ、人から見られている、ということをもっと意識してほしいですね」

復刻させたスキージャケット。エスニックな雰囲気のプリントシャツ。大人が楽しめるアイテムがそろう

――自分らしさというものに向き合って、ファッションを楽しむということでしょうか。

「そう。もっと装いを楽しんだ方が人生も生活も楽しめます。そして、自分のためでもあるけど、相手を喜ばせる、相手を敬うというのもファッションの役目。相手のために装うということを忘れちゃいけないと思います。あとは、個性を出し過ぎるのもどうかなとは思いますが、個性をポジティブにとらえるのが、装い方でもあるんです」

――鴨志田さんは自分の個性を守りつつ、どうやってセンスを磨かれていったのですか。

「たとえば、僕はネクタイをリラックスした感じで結びます。かちかちした感じは好きではない。自分の体形や持ち味を生かすように考えていくと、自然と自分に似合うようになっていくのです。メンズのスタイルは何十年も変わりません。そこから自分流にいかにアレンジしていくのか。ちょっとしたことで見栄えがする。料理のスパイスと一緒で、ベースをどう味付けするのか、考えるのも楽しいですよ」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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