私自身は人事組織の中で、「採用戦略本部」という部門を管轄していて、新卒採用・中途採用をメインで担当しています。でも、採用して終わりではなく、その後の才能開花(いわゆる育成や、パフォーマンス発揮を導く育成過程であるオンボーディング)も一貫して責任をもつ体制をとっています。

リモートワークになったことで、新入社員のコンディションが例年よりも悪くなるのではないかと想定していました。しかし、予想に反してここ数年の新入社員と比較してみると、2020年度の新入社員のコンディションはとても良かったのです。

オンラインでは従来の新卒研修とは異なる工夫が求められる(写真はイメージ=PIXTA)

実際に活躍している新入社員を見ていると、リモートワークでは個々人の業務がブラックボックス化しやすい中で、「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)が徹底できている」「ビジョンを言語化できている」「目標管理や時間管理などセルフマネジメントができている」といった特徴がありました。

また、育成が上手だなと思うリーダーはスピード感をもって意思決定を行い、管理するのではなくチームメンバーを信頼して権限委譲しながら実行支援していくことができていました。どちらか一方だけが努力すれば解決する問題ではなく、双方がリモートワークならではの仕事の進め方の工夫を模索し、スムーズなコミュニケーションの取り方、パフォーマンスの上げ方を確立していく必要があるのではないかと思います。

「ミドルマネジメント層」が抱える問題に会社も向き合う

コロナ禍での新人育成に手を焼いている一方で、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっていること」を組織課題として挙げている企業は多いのではないかと思います。

「管理職なんだから負担が増えるのは当たり前」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、プレーヤーとしてならパフォーマンスを上げられたのに、管理職になった途端、急にパフォーマンスの上げ方がわからなくなってしまう人や、プレッシャーや責任の重さに耐えられなくなってしまい、膨大な業務量の前につぶれてしまう人など、様々な「負担」がいろいろな形であらわれてしまうことは、ごく自然なことです。

メンバーの育成や業務改善などは、直属のリーダーだけが担うものではなく、チーム単位で、または部署単位で、さらには会社単位で取り組むべき課題です。人事の役割としても、管理職の仕事(主に人材育成)を現場に丸投げせずに、仕組みとして構築し、どのチームや組織にも展開できるものをつくれば、それだけ属人的にならない勝ちパターンが増えていきます。

また、ミドルマネジメント層には、次世代の経営を担う人材が育っていないという問題も起こっています。

・日常業務と経営の仕事がかけ離れすぎていて、経営経験を積める人が限られている
・優秀な社員がいても抜擢(ばってき)する環境が整っていない
 (抜擢の機会や適切なミッションがない)
・次世代の経営を担う人材の育成には時間がかかる(途中であきらめてしまいがち)

など、課題を挙げるときりがありません。

サイバーエージェントでは、その時々の経営課題に合わせた独自の幹部育成プログラムを設計・運用しています。この取り組みは「次世代経営者の育成」を目的として実行されてきましたが、経営課題解決のためのソリューション提案を自ら行ったり、経営情報をリアルタイムに把握したり、どのような意思決定が行われているか、どのような軸で経営判断がなされているかを知り、吸収したりしていくことこそが、実践に生きる「経営経験」につながると私たちは考えているからです。

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