ガンダム「百式とうふ」の次、チーズ食感で女性つかむ

日経トレンディ

プロテインバータイプの「BEYOND TOFUBAR」(税込み170円)
プロテインバータイプの「BEYOND TOFUBAR」(税込み170円)
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「伝統食品の豆腐を進化させる」を合言葉に、次々とヒット商品を生み出している相模屋食料が「BEYOND TOFU」ブランドから新商品を発売。プロテインバータイプの「BEYOND TOFUBAR」(税込み170円)は、5月にセブン-イレブンで試験販売を始めるや否や、「当初予想を上回る売れ行き」(相模屋食料)。7月には販売店舗を1万2000店舗規模に拡大するなど売り上げは好調だ。

2018年に発売されたBEYOND TOFUは、豆腐に発酵技術を用いることで、乳製品を使用せずに豆腐にチーズのようなねっとりとした食感を持たせた商品だ。購買者のターゲティングをするという発想の無かった豆腐業界では珍しく、女性のダイエット食消費に狙いを定め「おいしい豆腐」を掲げて開発された。味わいもチーズに近いため、オリーブオイルを掛けて食べるなど、斬新な食べ方を提案し20~30代前半女性の心をつかんだ。

18年に発売した「BEYOND TOFU」シリーズは、角切りにされたナチュラルチーズ風のものや、ピザ用。ギリシャヨーグルト風など様々なバリエーションがある

BEYOND TOFUBARは独自の製法で豆腐をバー状に加工したもので、食べ応えのある食感。たんぱく質10グラムを含み、間食や食事の置き換えとして好適だ。社長の鳥越淳司氏は「着想は3年前に米国で見聞きしたチルドタイプのプロテインバー。植物性たんぱく質の代表格である豆腐もこの市場で活躍できるのではないかとひらめいた」と経緯を語る。

実はBEYOND TOFUBARは、売り場の「空白地帯」をつかんでいる。「植物性のプロテインバーは、菓子棚に並ぶことが多いためチルドコーナーで売られること自体がまれだ」(鳥越氏)。最近、セブン-イレブンでは、たんぱく質を重視した商品を拡充しており、客のニーズにマッチしたのもヒットの要因だ。

豆腐を体験型コンテンツに

豆腐を起点にヒット商品を次々と生み出す秘密を聞いた。「四六時中豆腐のことを考えているため、街中の風景など日常すべてのものがヒントになる」と鳥越氏は胸を張る。

そこから生まれたのが期間限定で6月から販売された「百式とうふ」だ。ガンダムに登場する百式という機体を模した豆腐で、発売当初からSNSを中心に話題となり、注文が殺到。急きょ増産を決めた大ヒット商品だ。

期間限定で販売された「百式とうふ」(現在は販売終了)。カレーソースを表面に塗って、味付けと「塗装」を行う

発端は鳥越氏が大好きなアニメ「機動戦士ガンダム」だと語る。「『ガンダム THE ORIGIN』を見て、宇宙では食を生産する環境が非常に厳しいと感じた。畜産ではエネルギー効率が悪過ぎるため、穀物を中心とした植物性食品が主役になる。そこから、豆腐は宇宙世紀の食の中心になると思った」。

豆腐に「楽しい体験価値」を付けた大胆な仕掛けも好評を得た。「塗るとうふ」と銘打ち、購買者は添付の金粉入りカレーソースを表面に塗って、味付けと「塗装」を行う仕組みだ。

これに40代以上の男性を中心としたガンプラ世代が飛び付き、SNSで自分の作品を投稿するユーザーが次々に現れた。相模屋食料主催で「百式とうふ塗装コンテスト」が行われるなど、食べるだけにとどまらない楽しみ方は、豆腐の新たな可能性を開いた。

[日経トレンディ2020年10月号の記事を再構成]

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