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日本電産の会長兼最高経営責任者(CEO)である永守重信氏。そのカリスマ経営者が私財を投じて大学の改革を進めています。そんな永守氏の姿を追ったのが、新刊『永守重信の人材革命 実践力人材を育てる!』(日経BP)です。永守氏本人に加え、彼の薫陶を受けた5人の改革実行者にインタビューし、変わりゆく大学の全貌を追うことで、永守氏の組織改革、人材育成のイズムにも迫った本書のエッセンスを担当編集者が紹介します。

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改革の舞台は、京都市内に本部を置く「京都先端科学大学」。2019年3月までは京都学園大学という名称で、偏差値、人気共に低迷をしていました。永守氏は130億円以上もの私財を投じるだけでなく、同大学を運営する永守学園の理事長として足しげく大学に通い、組織改革を断行。大学組織にはプロ人材が集まり、教員にも世界各国から実力のある研究者が集結、入学希望者が増加するなど、変貌を遂げつつあります。

新鋭工学部から見える永守流の人材育成

同大学の改革の本丸であり、象徴といえるのが、20年4月に新設された工学部です。「機械電気システム工学科」の単科学部ではありますが、電気自動車、ロボット、ドローンといった未来の産業に欠かせない技術領域を視野に、工学の基礎やモーター技術などを横断的に学べるのが特徴です。新規に建てられた工学部棟には、最新鋭の3Dプリンターやレーザー加工機などが導入された機械工房を設置。24時間365日利用できる図書館に加え、キャンパスの随所にグループワークに適した共用スペース「ラーニングコモンズ」を備えるなど、研究に没頭できる環境が整っています。

キャンパスの充実度も目を引きますが、永守氏が考えるこれから必要な人材、そして目指す人材育成のイズムが色濃く表れているのが、教育の"中身"です。特徴は大きく3つ。「超横断的&体験型カリキュラム」「すべての講義を英語で行うEMI(English-MediumInstruction)」「キャップストーン」です。

超横断的&体験型カリキュラムとEMIについての詳説は書籍に譲るとして、ここではキャップストーンについてご紹介します。社会で力を発揮できる実践力を磨くことを打ち出す同大学において、まさにこの取り組みが象徴と位置づけられているからです。

キャップストーンとはピラミッドの頂点に最後に載せる石のことを指し、大学での学びの総仕上げとして実施されるという意味を持ちます。様々な企業から直面する課題を提示してもらい、1年かけて4人前後のチームで課題解決に挑む仕組み。大学3、4年次に卒業研究(卒研)に代わるものとして実施され、機械、電気、精密機器関連を中心に、50社を超えるメーカーが参画し、協力することを表明しています。

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