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本当に焼肉店? 飯盒にアユの串焼き「焼肉キャンプ」

ベルトコンベアで届くハイボールと生ビール。ジョッキはキャンプ用品

そして不思議なことが一つある。この店を経営するのは、実は外食企業最大手、「すき家」を経営するゼンショーホールディングスなのだ。なぜこんな変な店を作ったのか?

ゼンショーは、外食最大手を目指して事業展開をしてきた。「すき家」で牛丼市場では最大店舗数を確保し、ファミレス分野では茨城を地盤とした「ココス」を買収し、セゾン系だった「CASA」や山口が発祥の「サンデーサン」を傘下に収めた。客単価800円台で約1300店を誇る「ガスト」や1000店台の「サイゼリヤ」には負けるが、客単価1000円台では、「デニーズ」や「ジョナサン」を遠く引き離し、「ココス」は600店台にある。

ただ、焼き肉分野は決して強くない。居酒屋系に近いところでは、「牛角」が約600店を持ち、最大手。郊外では、時間制限つきながら食べ放題で好きな料理をタブレットで注文し、席まで持ってきてくれる「焼肉きんぐ」が約250店でトップを走る。ゼンショーは、この分野が弱い。買収した「ココス」が経営していた焼肉店や、のちに買収した店はあるが、合計でも100店に満たない。ゼンショーは「全勝」を企業理念として標榜しており、焼き肉分野の刺客として送り込んだのが「焼肉キャンプ」なのだ。

それは店舗運営システムにも表れている。

タッチパネルで注文した料理などは、回転すし店の特急レーンのように運ばれてくる。これは「キャンプの宝箱」

100席ほどの店内は、入り口すぐのコールマンチェアエリアを除くと、ボックス席の間に、ベルトコンベヤーが置かれている。回転寿司の「特急レーン」と似たものと思ってもらっていい。ただ、特急レーンは皿を乗せる特急列車型などの容器を回収しないと次の皿を運べないが、ベルトコンベヤー方式はその必要がない。タブレットから注文すると、その席が認識され、目の前で止まってくれる。効率化をよく考えた仕組みだ。ちなみに居酒屋大手のワタミが注力している焼肉店「上村(かみむら)牧場」や、既存居酒屋120店を転換しようとしている「焼肉の和民」も同じ仕組みを取り入れている。ゼンショーの本気度を感じる。

そしてもう一つ、本気度を感じるのは、焼き肉業界ではやっている「テーブルオーダーバイキング」方式を取り入れていないことだ。前述した「焼肉きんぐ」や大阪発祥で約100店を展開する「ワン・カルビ」は、「高品質の肉をテーブルからオーダーできます」を売り物にして、成長した。ところが「焼肉キャンプ」はその道を選ばなかった。

雰囲気が楽しいだけじゃない。肉も安くてうまい。中落ちカルビは一皿390円(税別)だ

キャンプをコンセプトとした面白い商品の陰で、単品も実はリーズナブルだ。スタンダードの中落ちカルビや牛タンは390円。500円以下の商品が大半を占める。週末やハレの日の時は、キャンプ気分で。そして平日のランチやディナー、そしてそれほど量を食べられないシニア向けには、コストパフォーマンスのよい単品をチョイスしてもらう。派手な仕掛けの裏には、よく考えた仕組みを感じる。

2回通ったが、両方ともド満席だった。外食最大手、ゼンショーの深謀遠慮を感じる。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)


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