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本当に焼肉店? 飯盒にアユの串焼き「焼肉キャンプ」

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NIKKEI STYLE

「焼肉キャンプ」という変な名前の店がある。カテゴリー的にはファミリー向け焼肉店なのだが、「キャンプ」をテーマに内装から料理まで、アウトドアスタイルを導入し、焼肉店とは思えない面白さを発揮しているのだ。

店舗は、現在2店。東京都小平市の東大和店と、同板橋区の板橋高島平店。板橋高島平店に行ってみた。

入り口で、まず面食らう。土曜日の夕方とはいえ、17時ですでにド満席。家族客が数組待っている。午前11時開店、途中に休みを作らない通し営業で、近くに住む人たちは早く行かないと、待たなくてはならないと分かっているのだろう。それがまた「人気店」のブランドを醸し出す。行列が行列を呼ぶ。時代を超えて通用する繁盛店の法則だ

入店時は、受付マシンでチェックイン。その場で発券するのは当然だが、ウエブ予約も可能。配膳・下膳ロボットも導入しており、外食ITをフル活用している。人との接触を減らすウィズコロナ時代への対応も完璧だ。

店内は、焼肉店らしからぬ雰囲気。迎えてくれる女性スタッフのユニホームは、アウトドア風のキャップにチェックのシャツ。ファミレスだったらこんな制服ありえない。そして、目の前に広がるのは、キャンプそのものの席。中央に焼き台はあるものの、客席はキャンプ用品で有名なブランド、コールマンのチェアーが並び、屋内ながらアウトドアの雰囲気を醸し出す。こうしたエリアは店全体の4分の1程度。長年外食を見てきたが、記憶がない作りだ。

それ以外のエリアは、普通のファミレスっぽい作りだが、実際に注文しようとタッチパネルを操作すると、焼肉店とは思えない料理が並んでいる。

「なんだこりゃ」と最初に思ったのが、「キャンプの宝箱」(990円、以下税別)。簡単にいうと、5種類の焼き肉の盛り合わせなのだが、浦島太郎ばりの木箱に入っている。しかも、注文して分かったのが、箱を開けると中に入っているドライアイスが反応し、白いスモークが卓上を覆うという仕組みだ。ネタか、と突っ込みたくなる。

しかもなぜか、アユがある。「暴れ川の鮎塩焼き」(490円)という商品だ。もちろん焼肉店にもシーフードはあるが、網で焼くことを前提にしたイカ系かサーモン系が定番。ここは生のアユを1匹まるごと長い串に刺し、それを焼き肉ロースターの上にかざして焼くという趣向だ。

アウトドアで川や海では釣った魚をその場で焼くということをよくやるが、それを店で実現しようという意図なのだろう。なんとなく子供だましかと思ったが、これ、やってみると実に面白い。席に置いてあるマニュアルには「遠火で10分ほどじっくり焼いてください」と書いてあるのだが、ロースターをまたぐ形で串を置くと、両面をきちんと焼こうと思っても、重さが不均衡のためか、一つの方向にクルっと戻ってしまう。焼き具合を慎重に見ながら、手動でひっくり返さなくてはならない。

こんな体験は初めてだ。定番商品なので、おそらく冷凍食材とは思うが、焼きあがったアユは、ふっくらとしていておいしかった。ほかにない独自商品だ。

もっと面白かったのが、飯盒(はんごう)関連商品。キャンプには不可欠と言える飯盒を使った料理が多数あるのだ。例えば、「キャンプ de 飯盒ご飯」(690円)。注文すると、生米と水を入れた飯盒が来て、その場で炊き上げる。ポイントは、焼き肉ロースターを使わず、専用のIH調理器が設置されていること、スイッチを押せば20分後には炊き上がる仕組みだ。

炊飯時に飯盒から音がして泡がしみ出る様子は、オヤジの子供時代の懐かしい思い出をくすぐる。似たものとして、その場でポップコーンを作る「キャンプde ポップコーン」(290円)やインスタントラーメンを使ったような「山頂 de 飯盒ラーメン」(390円)がある。

「山頂 de 飯盒ラーメン」は、本当に袋ラーメンぽさが満載で、袋ラーメン大手の○ッポロラーメン味噌味によく似ている。少し塩気が強いのだが、あまりに気になって、思わず帰りがけにスタッフに「これってサッ○ロラーメンですか?」と聞いたら、「いえ違います。煮込み系の別の会社さんに発注しています」とのこと。ということはお茶漬けで有名で、煮込みラーメンも展開している○谷園か?

とにかく、この店はマニア心をくすぐるエンターテインメント性にあふれている。

例えば、「キャンプ特製 ベビーバックリブ」(990円)。豚の肋骨に付いたおなか側がスペアリブだが、背中側がバックリブ。これを下ごしらえして、焼いて切り分けて豪快に食べる商品だ。ほかにはなかなか見ないものだが、特製ソースを塗りながら軽く焼くのが定番。ところが、これが意外と難しい。網の上に置いて1~2分、別のことを考えていたら、裏側が焦げて、真っ黒になっていた。子供と一緒に家族で行っていたら、娘から「もうパパ、ダメじゃん」と確実にツッコまれる案件だ。

ほかにも、この店は細かいこだわりにあふれている。最初に紹介したチェアーは、コールマンだったが、ビールやハイボールを入れるジョッキは、同じくキャンプ用品ブランドの「キャプテンスタッグ」。こだわりは相当で、熱い飯盒ご飯を空けるためのオレンジ色のグローブもキャプテンスタッグ製だ。よくまあ、ここまで細かいところにこだわったものだ。

そして不思議なことが一つある。この店を経営するのは、実は外食企業最大手、「すき家」を経営するゼンショーホールディングスなのだ。なぜこんな変な店を作ったのか?

ゼンショーは、外食最大手を目指して事業展開をしてきた。「すき家」で牛丼市場では最大店舗数を確保し、ファミレス分野では茨城を地盤とした「ココス」を買収し、セゾン系だった「CASA」や山口が発祥の「サンデーサン」を傘下に収めた。客単価800円台で約1300店を誇る「ガスト」や1000店台の「サイゼリヤ」には負けるが、客単価1000円台では、「デニーズ」や「ジョナサン」を遠く引き離し、「ココス」は600店台にある。

ただ、焼き肉分野は決して強くない。居酒屋系に近いところでは、「牛角」が約600店を持ち、最大手。郊外では、時間制限つきながら食べ放題で好きな料理をタブレットで注文し、席まで持ってきてくれる「焼肉きんぐ」が約250店でトップを走る。ゼンショーは、この分野が弱い。買収した「ココス」が経営していた焼肉店や、のちに買収した店はあるが、合計でも100店に満たない。ゼンショーは「全勝」を企業理念として標榜しており、焼き肉分野の刺客として送り込んだのが「焼肉キャンプ」なのだ。

それは店舗運営システムにも表れている。

100席ほどの店内は、入り口すぐのコールマンチェアエリアを除くと、ボックス席の間に、ベルトコンベヤーが置かれている。回転寿司の「特急レーン」と似たものと思ってもらっていい。ただ、特急レーンは皿を乗せる特急列車型などの容器を回収しないと次の皿を運べないが、ベルトコンベヤー方式はその必要がない。タブレットから注文すると、その席が認識され、目の前で止まってくれる。効率化をよく考えた仕組みだ。ちなみに居酒屋大手のワタミが注力している焼肉店「上村(かみむら)牧場」や、既存居酒屋120店を転換しようとしている「焼肉の和民」も同じ仕組みを取り入れている。ゼンショーの本気度を感じる。

そしてもう一つ、本気度を感じるのは、焼き肉業界ではやっている「テーブルオーダーバイキング」方式を取り入れていないことだ。前述した「焼肉きんぐ」や大阪発祥で約100店を展開する「ワン・カルビ」は、「高品質の肉をテーブルからオーダーできます」を売り物にして、成長した。ところが「焼肉キャンプ」はその道を選ばなかった。

キャンプをコンセプトとした面白い商品の陰で、単品も実はリーズナブルだ。スタンダードの中落ちカルビや牛タンは390円。500円以下の商品が大半を占める。週末やハレの日の時は、キャンプ気分で。そして平日のランチやディナー、そしてそれほど量を食べられないシニア向けには、コストパフォーマンスのよい単品をチョイスしてもらう。派手な仕掛けの裏には、よく考えた仕組みを感じる。

2回通ったが、両方ともド満席だった。外食最大手、ゼンショーの深謀遠慮を感じる。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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