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加藤雅則氏

加藤雅則氏

新型コロナウイルスの感染収束の見通しが立たない。中堅・中小企業経営者の間からは経営や事業の展望が描けず、悲鳴も聞かれる。リーマン・ショックを上回る経済停滞の難局をどう乗り越えればよいのか。企業の経営支援にあたってきた組織開発コンサルタントの加藤雅則氏は「未曽有の危機の中で、いま一度、自社のありようを見つめ、原点に立ち返ることが重要。『第2創業』の絶好の機会ととらえるべきだ」と話す。

◇  ◇  ◇

――今年3月、AGCの組織改革の事例を軸に、米スタンフォード大学経営大学院の経営学者らとの共著『両利きの組織をつくる』(英治出版)を発刊しました。著書では既存事業を深掘りするとともに、新規事業を探索する「攻めと守りの経営」の重要性を説いています。

「先行きが不透明な経済状況の中で、いわゆる『大企業病』の克服策と、これからの生き残り策を研究し、まとめたものです。本来は大企業向けの経営理論として考えていたのですが、書籍発刊後は意外なことに、半年間で食品や機械のメーカーなど十数社の中堅・中小企業経営者から問い合わせが相次ぎました。うちの会社はこのままで生き残れるのか。この先どうしたらいいのか。切実な相談ばかりです。未曽有の経済危機ともいわれるコロナ禍で、数多くの経営者が特に春先は悶々(もんもん)と会社の行く末を考えたことだろうと思います」

「飲食業や宿泊業などコロナ禍で需要が蒸発してしまった事業者にとって、客足が減って足元の資金繰りに窮する時期でしたが、相談を寄せた企業の中には、国内専業ながら他社が入りきれないほど業界で確固たるシェアを握る有力企業もありました。このままでは間違いなく国内市場は縮小する、専業にこだわった『一本足打法』で勝機はあるのか、といった悲痛な叫びが届きました。著書で扱った『両利きの経営』のテーマが心に響いたのかもしれません」

――コロナ禍を経験して経営者の意識はどう変わりましたか?

「国内市場だけではこの先、生き残っていけないという漠然とした不安はコロナ前からありましたが、コロナを機に危機感に火が付き、経営者の心の変化が加速したのでしょう。今まで当たり前と思ってやってきたが、コロナによる経済停滞で不安が一気に顕在化したようです。企業経営では『選択と集中』がこれまで良いとされてきましたが、いやむしろ反対で『選択と分散』が重要だと考えていいのではないかとの声が出るようになってきました。それこそがまさに『両利きの経営』に通じる考え方です」

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