キングジムのメモ端末「フリーノ」 電池の持ちに不安
今回の目利き 森谷健一氏
手書きメモを好む人に最近人気なのが電子ペーパー搭載のタブレットだ。海外製端末は多いが、国内大手メーカーで個人向け手帳型メモ端末を提供するのは富士通とシャープのみ。ここに文具大手のキングジムが新製品「フリーノ」を投入した。
画面は6.8型、1440×1080ドット。解像度は265dpiで高精細だと言える。用途は手書きメモ、カレンダー表示、PDF閲覧など。電子書籍関連アプリには非対応だ。
使ってみてすぐに気づくのは、専用ペンで書いたときの滑らかさだ。ペンは充電不要。鉛筆とほぼ同じ形状で、断面は六角形だ。ペン先の感触はサインペンに近い。追従性は良く、素早く書いても途切れることはない。他社製品では斜めの直線がガタついたり、本体を横向きにすると、ペン先と表示が一致しなかったりする問題があるが、それらの現象はなかった。
手書きメモ機能では、フリーハンドで文字を書けるだけでなく、直線や円などを好きなサイズで配置できる。消しゴム機能では、なぞった部分だけを消去できるモードと、線の一部をなぞると全体を消去できるモードを切り替えられる。どちらかしか利用できない製品も多いので、これは大変便利だ。ペン先とは逆側で画面をこすると、消しゴム機能が利用できる。
PDFを表示するには、パソコンなどから転送する必要がある。方法は3つあるが、ドロップボックスから取り込めることに注目したい。手書きでコメントを書き込めるほか、ハイライトや下線を引くこともできるが、手書き文字の色は黒のみで校正作業には向かない。
最も気になったのがバッテリーの持ちだ。スペックでは1日15分の書き込みとPDF閲覧を60分行った場合、約10日使える。本格的にメモ書きやタスク管理に使えば、数日程度しか持たなそうだ。
実勢価格は4万円台半ば。液晶タブレットと比べればかなり割高だが、書き味は素晴らしい。電子ペーパー採用のコンパクトなメモ端末を探している人には、有力な選択肢の一つになろう。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年10月8日付]
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