コロナで広がる自転車通勤 専用道や通勤手当が課題

車の駐車位置をセンターライン寄りにし、自転車の走行を妨げないようにした自転車専用レーン(10月、東京都文京区)
車の駐車位置をセンターライン寄りにし、自転車の走行を妨げないようにした自転車専用レーン(10月、東京都文京区)

自転車通勤する人が目立つようになりました。政府は新型コロナウイルス対策の一環で自転車通勤を促していますが、安全面から会社が認めないといった課題もあります。環境や健康にも有益な自転車通勤はコロナを機に広がるのでしょうか。

東京工業大学副学長の屋井鉄雄教授の研究室は、都内で自転車通勤の状況を確認しました。それによると、4~5月はコロナ前と比べ「数割程度増えた印象」といいます。

自転車産業振興協会によると、4~6月の自転車の生産・輸入台数は、1~3月に減少した反動や10万円の特別定額給付金もあって、前年より12%増えています。

au損害保険が都内で自転車通勤する500人に聞いたところ、コロナ後に始めた人は23%でした。「コロナ後に勤務先が推奨した」と答えた人は32%いました。拡大に必要な対策(複数回答)では「自転車通勤を認める会社の増加」(71%)、「自転車レーンの整備」(68%)などが目立ちました。

政府や関連団体で構成する自転車活用推進官民連携協議会によると、自転車通勤の導入による通勤費の削減効果は1人当たり年間5.7万円です。会社側のメリットも大きいのですが、導入時には(1)自転車保険加入など安全対策(2)日によって異なる交通手段を認め、通勤手当を柔軟にする(3)駐輪場や更衣室の確保――が課題となります。

自転車保険加入を義務づける条例を制定した都道府県・政令市は4月時点で23、努力義務は13に増えました。事故を起こせば、高額の損害賠償を負担することにもなります。自治体も対応を急いでいます。

歩行者と分離された自転車レーンは、全国で2930キロメートル(3月末時点)整備され、年数百キロメートルのペースで増えています。それでも途切れ途切れの感は否めません。全国で200余りの都市がネットワーク化を計画していますが、インフラ整備はまだ途上にあるといえそうです。

一方、都市内の移動に便利なのがシェアサイクルです。導入自治体は18年度末で225都市、サイクルポートは1589カ所に達します。コロナで一段と利用が増えてきました。

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屋井鉄雄・東京工業大学副学長「利用拡大へ環境整備が
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