検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

ミスマッチは起こる 半年で会社辞めた先輩からの助言

通年採用時代の就活のトリセツ(9)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

こんにちは、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔です。過ごしやすい季節になり、今年も内定式がおわりましたね。昨年までとの違いは、多くの企業で内定式がオンラインで実施されたこと。これもウィズコロナを生きるニューノーマル(新常態)ですね。

内定式に参加したゼミ生には、次のことを伝えています。

「入社後の働き方を具体的に見据えて、残りの大学生活を過ごすように」と。

内定式の翌日から、私は4年生とのコミュニケーションを意識的に変えています。具体的には、大学生への教育支援の立場ではなく、社会人としてキャリア形成を念頭に置いて接するようにします。よりわかりやすく表現するなら、学生と教員の関係ではなく、社会人の同僚としてフィードバックをするように心がけています。

「遅刻や無断欠席」、さらにリポートや課題の提出期限を守らないといった、大学生としては、なんとなく許されてきた「ぬるい慣習」は、社会では通用しません。先日も、現在取り組んでいる卒業論文の第一次締め切りを守らなかったゼミ生には、認識の甘さを見直すように伝えました。

当たり前のことを丁寧にやる。これが社会人の基礎作法です。もちろん、そのようなことは大学1年生の時から伝えています。しかし、本人が「その気になる」タイミングが内定式直後なのです。大学生気分のままではまずいな、社会人としてしっかり働いていけるように力をつけていこうと自覚するのが、この時期なのです。

内定式後に考えたいこと

さらに、キャリア論の専門家としてもう一歩踏み込んでアドバイスをしています。それは、内定式後から入社後のミスマッチについても考えてもらうようにしているのです。

なぜか? 内定式は企業の入り口に過ぎません。内定式とはいえ、みんなはまだお客様扱いです。企業のいいところばかりが見えているはずです。実際に、働いてみないと職場のリアルはわからないのです。

しかし、皆さんが大学の講義で一度は耳にしたことを思い出しておきましょう。「新卒の3割が、入社3年以内に会社を辞めている」という早期退職の実態についてです。景気によって多少の振れ幅はありますが、昔から変わらない傾向です。私はゼミ生に、早期退職は決して他人事ではないということを伝えています。

そこで今回は、実際に早期退職をして、そのときの経験を生かして、現在はキャリア開発支援に従事している塚田亜弓さんにインタビューをしました。塚田さんのリアルな早期離職経験の話から、自分事としてイメージて考えてもらいたいと思います。

◇  ◇  ◇

――どんな大学生だったのですか?

フツーの学生です。どこにでもいるような。私は比較的決められたレールの上を無意識に走ってきたタイプ。学校の進路選択、就職先の選択においても、自らの強い意思があったわけではないのです。周りに流れされていたわけではないのですが、なんとなくダメージの少ない道を選んできたように思います。キャリアを選択するときには、いつも迷っていました。そのたびに納得のいく決断ができなかったように感じています。

――大学卒業後は教育サービスの企業に入社しましたが、6カ月で退職されています。

一つ目の理由は、関心の変化。個人に寄り添いたいという思いから個人向けサービスを担当していましたが、実際に仕事をするうちに、企業に働きかけるサービスに関心が移ったことです。2つ目は環境。もともと20代はがむしゃらに働こうと決めていたのですが、いざ入社してみると、想像していた以上にビジネスの仕組みができ上がっている会社で、刺激が足りませんでした。学生時代に最後まで悩み、内定辞退をした大手人材サービス企業へ就職した同級生がバリバリ働いている姿をみて、このままじゃダメだ!と思ったのです。

相談できる人がいない 早期退職の実情

――会社を辞めたとき、不安や焦りはありませんでしたか?

それは焦りましたよ。これからどうしよう……って。誰に相談していいかもわかりません。親や友人にも相談しにくいのですよね。若いから転職は簡単って思われるかもしれませんが、早期退職だと相手にされないのです。社会人半年だと、そもそも応募要件に満たないところばかりでした。求人情報を見ているだけでは進まないので、最終的には、思い切って気になる会社に直接連絡することにしました。選考は進んではいたもののスケジュール的に内定をいただく前に、退職日を迎えることになってしまったので、万が一、不採用になってしまったら、どうなるのだろうと。すごく怖かったですね。

 インタビューの途中ですが、ここで早期退職の問題を整理したいと思います。それは、相談者がいないこと。大学は卒業してしまっているので、キャリアセンターやゼミの教員からアドバイスをもらうこともできません。また、新卒の同期は、それぞれ目の前の仕事に必死に頑張っているので、退職の相談をしにくいのです。

 そこでみなさんは、次の二つのことを忘れないようにしてください。

(1)早期退職は、キャリアの否定ではない、ということ。会社とのミスマッチは、誰にでも起こりうることです。もし、そのような状況におかれたら、自らを否定するのではなく、これからどうしていくかを落ち着いて考えるようにしましょう。

(2)キャリアの相談相手をつくっておくこと。これからのキャリアについて日ごろから考え、キャリア関連のコミュニティに足を運んでおくと、そのような時に親身になって相談に乗ってくれます。実際、塚田さんは会社に直接交渉をして、採用コンサルティング企業への入社に至りましたが、早期退職のプロセスで感じた問題点や心理的負担については、「私だけの問題ではなく、誰もが直面する問題」として向き合っていかなければならないと強く感じるようになったとのことです。

――なぜ今、キャリアコンサルタントを支援するサロンを運営しているのですか?

自分のようなキャリア迷子を助けるサポートがしたいからです。迷子の渦中にいるときは、心理的に結構しんどいのです。今振り返ると、自己分析や企業リサーチが甘かったと反省ですが、私が早期退職を考えた時には、とにかく、相談できる人がいませんでした。「キャリアコンサルタント」という職業も今ほど知られていませんでした。定期的に相談する必要はないかもしれないけど、本当に困ったときに相談できる人がいる、そういう仕組みが用意されていることが大事だと思います。

自己分析で「夢」にばかり目を向けないで

――これからの働き方のポイントは何ですか?

何がやりたいかを無理に決める必要はありません。よく自己分析や社会人の新人研修などで登場する「Will、Can、Must」(やりたいこと、できること、やらなければならないこと)。最近は、「Will」=将来どうありたいのか、を問われる風潮が強いように感じます。ここにプレッシャーを感じている人が多いのではないでしょうか。それを一緒に考えるために、私のようなキャリアコンサルタントがいます。とはいえ、「自分はどんな人物になりたいのか」、「どのような人生を送りたいのか」は、そう簡単に決められるものじゃないのです。

でも、「Can」や「Must」から考えていけば、やりたいことが見つけやすいのです。まずは、できることややるべきことを一生懸命やってみる。それが大切です。そのうちにやりたいことが具体的に見えてくる、見えてきたらシフトチェンジしていくのです。

そして、一度決めたことを一生貫き通す必要もありません。やってみて違うと思ったら、柔軟に変化させればいいのです。そう考えると、自分に無駄なプレッシャーをかけずにすむので、気も楽になります。

――学生のうちに、やっておくべきことを教えください。

インターンは、おすすめです。学生インターンだからこその特権がある。社長や役員に会えることもあります。いろんな会社や人に出会って、社会を知るように心がけましょう。友達は、無理に増やす必要はありません。友人、先輩、教授、一生の付き合いができる人に数人でも出会えれば幸せです。もし学校内にいないと思うのであれば、課外活動やアルバイトなど、普段活動している範囲の一歩外に出てみることで、新たな出会いにつながります。

できれば、双方向のコミュニケーションツールで、自分の考えたことを投稿し、フィードバックをもらうようにしましょう。社会人になって必要なのは、相手の考えていることを理解し、自分の考えを丁寧に伝えていく、インタラクティブ(双方向)のコミュニケーションです。仕事をしていく上での全ての根底に、コミュニケーションがありますから。

◇  ◇  ◇

塚田さんからのアドバイス、いかがでしたか? 迷うこと、悩むことは、誰にでもあるのです。この連載でも何度も取り上げてきたように、一つに固執しないで、変化やニーズにあわせて臨機応変に適応していく姿勢が必要になってきますね。

やってきたことと、やりたいことをしっかり言葉にして伝えていくようにしましょう。言語化する修練の機会として、皆さんの目の前の卒業論文も、貴重なトレーニングになりますね。残りの期間、充実した学生生活を過ごせるよう心がけていってください。

就活
塚田亜弓
 1988年生まれ。現職及びトライアンフにて、人事コンサルタント業務9年。採用、教育研修、労務制度づくりなど、幅広くHR業務に従事する。2017年1月にHRラボを設立し、社長就任。創業後、企業内セルフ・キャリアドック制度の導入実績は1,000社を超える。厚生労働省キャリアコンサルタント更新講習の認定講師。キャリアコンサルタントのためのコミュニティ「キャリコンサロン」創設者。
田中研之輔
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。日本学術振興会特別研究員(SPD:東京大学) 2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を19社歴任。著書25冊。『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)など。最新作『ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発』(金子書房)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_