高級感と操作性の良さの両立 FiiO「M15」

FiiO「M15」。画面が大きくて見やすく、Android OS搭載のためスマートフォンのような感覚で扱える

小沼 続いてはFiiO「M15」。FiiOはどんなブランドでしょう?

小原 FiiOは中国のメーカー。近年高級路線に力を入れていて、ぐっと評価が高まってきました。特にこの「M15」は評価が高く話題になりました。デザインが洗練されているし、画面が大きくて見やすくきれい。高級感と使いやすさを追求していると感じました。

小沼 サイズや重量は「SA700」に近いですね。音質はいかがでしょう?

小原 「SA700」と比べると、若干デフォルメされた音です。ビートの効いた音楽はビートがよりはっきり感じられますし、高域もガツンと強めに響いてくる。音楽の特質をしっかり出してくれると感じました。解像感が高く、細かな音がよく聴こえるのも特徴です。

小沼 「M15」はAndroid OSを搭載していて、スマホと同じ感覚で様々なアプリをダウンロードできます。ストリーミングサービスをインストールする手順もわかりやすいですし、最近増えつつあるアプリで操作する完全ワイヤレスイヤホンを使いこなせるのがいいですね。専用機の高音質と、完全ワイヤレスの凝ったイコライザーやノイズキャンセリング機能を、どちらも堪能できるのは魅力だと感じます。

アップスケーリング機能でストリーミングを高音質に ソニー「NW-ZX507」

ソニー「NW-ZX507」。重量164グラムと軽く、手になじむデザイン

小沼 最後がソニーの「NW-ZX507」。他2つと比べると小ぶりで、デザインもカジュアルです。

小原 ソニーのウォークマンと言えば、ポータブルオーディオの代名詞といえる存在。でも、DAPではまずiPodに押され、その後の高級DAP市場でも後れをとり、なかなかインパクトを残せませんでした。名誉挽回してきたのがここ5、6年のこと。アステルアンドケルンなどとは正反対の「軽さ」を打ち出した製品で、他にない存在感を示しています。

小沼 「SA700」などのずっしりとした高級感もいいですが、個人的にはこの手軽さに引かれるなあ。こちらもAndroid OS搭載で操作性に優れています。

小原 音はS/N比(信号に対する雑音の割合)に優れていて周波数レンジが広く、バランスがいいですね。小さな音と大きな音のレンジ感がダイナミックで、突然大きな音が鳴っても飽和感がありませんでした。

小沼 「NW-ZX507」は独自のアップスケーリング機能でストリーミング音源を高音質化してくれるのもポイント。そのためか、よりクリアで迫力のある音質に感じました。僕のようにストリーミングで聴くことが多い人にはオススメです。

DAPに慣れると、もうスマホには戻れない?

小沼 3機種聴いてみて、小原さんのオススメはどれですか?

小原 私はやっぱり「SA700」ですね。アステルアンドケルンを長く使っていることもあるけれど、デザインも音質もこれが一番。他の2機種と違ってAndroid OSではないのでイヤホンのアプリを使えないのは難点ですが、それを補ってあまりある魅力を感じます。小沼さんはどうですか?

小沼 僕は携帯性に優れていて、ストリーミングを高音質化してくれる「NW-ZX507」が自分に合っています。でも、今回「SA700」や「M15」もさすがの作り込みだと感じました。これに慣れちゃうと、もうスマホで聴くのには戻れないだろうなあ……。

小原 僕なんかはやっぱりDAPを使い続けているから、スマホは音楽を聴くものじゃないと思っていますよ(笑)。でも、プレーヤーでこれだけ音質が変わることがわかったと思います。音楽に一家言ある人なら検討してみる価値があると思いますよ。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。今回の試聴で使ったアルバムは「ジョン・ウィリアムズ・ライヴ・イン・ウィーン」(ユニバーサル)など。

小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。今回の試聴で使ったアルバムは「フルフォニー」(蓮沼執太フルフィル)など。
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