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2度の大量絶滅乗り越え 恐竜1.5億年、繁栄の秘密

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ナショナルジオグラフィック日本版

およそ1億5000万年の長きにわたり地球を支配した恐竜たちがどのように死んでいったかについては、多くの人が知っているだろう。6600万年前に大半の恐竜を絶滅させた小惑星の衝突は、今も人々の興味をひきつけてやまない。

その一方で、なぜ恐竜が台頭したのかはあまり語られない。6600万年と比べれば相当古く、小惑星の衝突のようなドラマチックな出来事を描けていないせいもあるが、どうやらそれは大量絶滅という、地球の生命の歴史における最悪の危機のおかげであるらしい。しかも、一度ではなかった。

現在、新たな化石の発見と進歩した分析技術に基づく数々の証拠により、恐竜や爬虫類の祖先がどのようにして哺乳類の祖先を凌駕(りょうが)し、生態学的な優位を獲得することができたのかが明らかになり始めている。

哺乳類の祖先から爬虫類の時代へ

恐竜が台頭する引き金となった最初の大量絶滅は、約2億5200万年前のこと。激しい火山活動によって大気中に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大量に噴出した。火山の熱は炭層を燃やし、さらに多くの灰や微粒子が大気中に放出された。この大変動は太陽を覆い隠し、海を酸性化させ、地球温暖化に拍車をかけ、さらには空気中や水中の酸素濃度も低下させた。

災害の影響を受けなかった生息地が事実上皆無となった地球において、生物は約100万年という歳月をかけて徐々に消滅していった。この大量絶滅は、ペルム紀(Permian)と三畳紀(Triassic)の英語の頭文字をとって「P/T境界絶滅」と呼ばれている。

この大惨事が終わりを迎えるころには、世界は完全に以前とは違うものになっていた。こうして爬虫類の時代が始まる舞台が整えられた。

P/T境界絶滅以前、実は陸上では単弓類と呼ばれる哺乳類の祖先が繁栄し、広く生息していた。大量絶滅により、既知の陸生種の70%が絶滅し、単弓類も多くそこに含まれていた。

「ペルム紀末期の大量絶滅で、なぜ単弓類がそこまで大きな打撃を受けたのかは、よくわかっていません」と、南アフリカにあるブルームフォンテーン国立博物館のジェニファー・ボタ氏は言う。

かつては古生物学者たちに見過ごされてきた小さな生きものたちが今、岩の中から多く発見されるようになっている。大量絶滅の前から、彼らは生き延びるため否応(いやおう)なしに、それぞれ独自の進化を遂げていた。そうして獲得した特徴の中に、大災害に見舞われた後の地球を征服するうえで役に立つものと、そうでないものがあった。

明暗を分けた呼吸法の違い

哺乳類の祖先が繁栄した世界から爬虫類が支配する世界への変化は、一夜にして起こったことではない。

「大災害後の時代に、爬虫類が一瞬にして既存のグループに取って代わったというわけではありません」。バージニア自然史博物館の古生物学者アダム・プリチャード氏はそう語る。

のちに恐竜を生み出す主竜類(Archosauria、「支配的な爬虫類」という意味)が台頭するのは、三畳紀に入って500万年から1000万年たってからのことだ。現在知られている最古の恐竜である、2億4300万年前に生息していたニャササウルスは、ジャーマンシェパードほどの大きさの痩せ型の雑食動物で、虫やシダ類をよく食べていたと考えられている。

三畳紀になって、なぜこれらの爬虫類が哺乳類の祖先よりも優勢になったのかについては、長い間議論が交わされてきた。その理由のひとつとして有力視されているのが、彼らの呼吸法だ。

哺乳類の祖先たちの肺は、息を吸うときも吐くときも動かすタイプだったと、米ルイジアナ州立大学保健科学センター・ニューオーリンズの古生物学者エマ・シャクナー氏は言う。この動きには肺全体がかかわり、空気中に大量の酸素があるときには有利に働くが、「酸素が低下すると、問題が出てくるかもしれません」

一方、恐竜の祖先を含む爬虫類の呼吸法は異なっていた。彼らの肺は、片側からポンプのように空気を送り、反対側で酸素を取り込む一方通行式だった。こうした体の構造のおかげで、爬虫類(ヘビやトカゲ、恐竜から進化した鳥類などの現在の種も含む)は、高地などの酸素が少ない環境下において、より効率的に呼吸することができる。

「主竜類の呼吸システムが、単弓類よりもすぐれていた可能性はあります」と、ボタ氏は言う。おかげで爬虫類は、大量絶滅後、何百万年も続いた低酸素の環境に、より適していたかもしれない。酸素レベルの低下は哺乳類の祖先を不利な状況に追い込んだが、爬虫類はほとんど影響を受けなかったと、シャクナー氏は言う。

しかも、辛うじて生き残った爬虫類にとっては、競争相手のほとんどが消えていた。そこで彼らはさまざまな環境へと進出し、同じくぎりぎり生き延びた哺乳類の祖先が生息する余地を奪っていった。

こうして、三畳紀においては主竜類などの爬虫類が陸上の優勢な脊椎動物となり、なかでも支配的だった主竜類が、やがてワニ類や恐竜、翼竜に枝分かれする。

「ワニ類にはあまり見られませんが、これらの爬虫類たちは、くちばし、帆のような背ビレ、ひづめといったおかしな解剖学的適応を遂げていました」とシャクナー氏は言う。

「恐竜は、三畳紀に豊富に生息していた奇妙な爬虫類群の一つにすぎません」とプリチャード氏は述べている。

ワニの祖先が支配的だった三畳紀

三畳紀の初期に枝分かれした主竜類のなかで、まず支配的な立場を得たのはワニの祖先だった。彼らの一部は恐ろしい肉食動物に進化を遂げた。

このとき、恐竜の祖先はまだ小さな生きものたちだった。彼らは下草の中で、ちょろちょろとかけまわり、新たな生き方を模索し始めていた。

その小ささゆえに、彼らの化石を見つけるのは簡単ではない。小さくて壊れやすい骨は、大きくて頑丈な骨格よりも化石として残る可能性が低く、かつての古生物学者たちは、目立ちやすい大型の動物を発見することに焦点を当ててきた。

ところが最近の発見により、最初期の恐竜は、専門家が考えていたような、ライバルを直接打ち負かすどう猛な生き物ではないことがわかってきた。彼らは敵をなぎ倒して頂点にたどり着いたわけではなく、むしろ日和見主義者として成功したのだ。

小さいことの利点

三畳紀に生息した、恐竜と翼竜の共通祖先に近いコンゴナフォンは、体高がわずか10センチほどと、ネズミ程度の大きさだった。現在のマダガスカルに生息していたこのちっぽけな爬虫類は主竜類の仲間だった。

コンゴナフォンについて現在わたしたちが持っている手がかりは、文字通りひと握りの骨だけだ。それでも、爬虫類の進化の中でコンゴナフォンが占める位置や、小さな体の意味から、恐竜の台頭にとっても彼らのような特徴が非常に重要だったことがわかる。

数十年におよぶ発見の積み重ねにより、恐竜も翼竜も活発な恒温動物であったことがわかっている。また一部の仲間は、体がふわふわとした羽毛のようなものに覆われていた。

コンゴナフォンにその直接的な証拠はないものの、「コンゴナフォンなどの動物たちは、原始的な羽毛に覆われている姿で描かれます。これは関連のある動物たちに羽毛があることに基づく合理的な推測です」と、プリチャード氏は言う。

もしこの推測が事実であれば、コンゴナフォンのような特徴が、恐竜や翼竜の子孫たちにも受け継がれていたと考えられる。

小さな動物は体温を調節するのが難しく、体を覆う羽毛は寒暖差を緩和してくれる。また、体の小さい生物は多くの場合、昆虫などを捕らえ、また捕食者から逃げられるように、走ったり跳んだりする能力が欠かせない。そのため、代謝が速く、高カロリーの食べ物をたくさんとる必要があり、体温の維持は生き残りの鍵になりうる。

体長18センチほどのスクレロモクルスという小さな爬虫類もまた、この進化の物語にかかわっていたかもしれない。スクレロモクルスがカンガルーネズミのように高くジャンプしたのか、それともカエルのようにピョンピョンと飛び回っていたのかについては議論があるが、いずれにせよこの動物は、同じように羽毛に覆われていた翼竜の起源において、重要な役割を担っていた可能性がある。

こうした説を検証するには、さらに多くの化石の発見を待たなければならない。とはいえ、三畳紀が終わり、恐竜がより多様な大きさや形態に進化していく中で、羽毛や俊敏な体といった小さな祖先たちの特徴が受け継がれていった可能性は高い。そうした遺伝が、再び大量絶滅が起こったときに、大きな違いをもたらしたのかもしれない。

恐竜、頂点に立つ

2億100万年前の三畳紀の終わりに、火山活動が再び活発化した。その影響はペルム紀末期の大量絶滅のときほど大きくはなかったものの、地球の気候を不安定にする程度には深刻なものだった。

このときの大量絶滅の経緯についてはまだくわしくはわかっていないが、三畳紀に支配的だったワニの仲間などが、世界的な気温の急上昇とその後の冷え込みに対応できなかった可能性がある。

一方、恐竜や翼竜は原始的な羽毛のおかげで、体温をうまく調節できた。また、この時期にはすでに恐竜も翼竜も、多様で適応力のある生物群へと進化していた。小さく俊敏な肉食の恐竜たちが、首の長い巨大な草食動物とともに暮らし、翼竜は空を飛べる最初の脊椎動物となっていた。

そして、恐竜が頂点に立つ時代が訪れる。ジュラ紀の到来だ。

約1億7500万年前のジュラ紀中期には、恐竜が完全に世界を支配していた。メガロサウルスのような、後方に反ったノコギリ状の歯を持つ巨大な捕食者たちが森をうろついていた。ファヤンゴサウルスなどの、体高が低く、体をよろいに覆われた草食恐竜がシダを食べていた。そしてスピノフォロサウルスのような首の長い大型草食動物は、やがて史上最大級の陸上動物へと進化していった。

何百、何千万年もの間、脇役を務めていた恐竜たちが、ついに主役に躍り出たのだ。

最初に述べたように、その時代はおよそ1億5000万年という長きにわたる。

だが、恐竜たちが栄華を極めた時代、彼らは知らず知らずのうちに、次なる支配者の台頭に一役買っていた。その支配者とは哺乳類だ。

哺乳類の祖先から生き延びた系統の一つから、新しい小さな生物の系統が生まれた。ほぼ夜間に活動する、ネズミよりも少し大きい程度の生物だった。恐竜の直接の祖先と同じく、彼らはふわふわの体毛をもち、代謝が速く、昆虫を好んで食べた。

歴史は繰り返す。命のサイクルがめぐる中、恐竜が支配する世界のかたすみで暮らしていた哺乳類たちだったが、小惑星チクシュルーブによってもう一度大量絶滅が起こって「恐ろしいトカゲ」が一掃されると、今度は彼らのもとに幸運が舞い込むことになる。

(文 RILEY BLACK、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年10月4日付]

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