才能の差より、ツキの差

――アース製薬に入社したきっかけは。

「当初は全く入る予定はなかったのです。大学時代、特にこれがしたいという目標はなく、アパレルメーカーからいくつか内定をもらっていました。ある日、当時お付き合いしていた彼女の実家に行った時、早く着いたのでお父さんと雑談して就職先を伝えたのです。そうしたら後日、彼女から『お父さんの反応があまりよくなかった』と聞きました。お父さんは、アパレル業界は華やかで、軽い印象の人が多い、という考えを持っていたようです。僕は格好つけるタイプなので『じゃ、就職し直すよ』と探して、たまたま見つけたのがアース製薬でした」

趣味は楽器演奏のほか、ゴルフなどアウトドアスポーツにも積極的だ(2010年、米国で撮影)

「巡り合わせは大事にしています。人間の才能はそこまで個人差がないと思っていますが、ただツキの差はありますよね。人は縁の中で生きていると感じるのは、私があの時、あの場で当時の彼女のお父さんと話すことがなかったら、今何をしているのか分かりません。会社のトップとして、優秀な人間はしっかりと評価しなければいけません。でも、優秀だから出世するとは限らないのです。人生は良いことばかり起きないのかもしれませんが、巡り合う縁を受け止める力も必要です。だからこそ、面白いんだと思います。自分の意思がないというわけではなくて、縁に逆らわない意思というのも時には大事です」

「人事について決断するときは、社員にしっかり説明するように心がけています。私は何事もポジティブに受け止めてきましたが、そうでない人もいるからです。なぜそのようなポジションになったのか、理由をきちんと説明すれば納得してもらえると信じています」

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コロナきっかけに新しいステージに
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