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アース製薬社長 川端克宜氏

アース製薬社長 川端克宜氏 

新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞する中、アース製薬は売上高を前年同期比で約6%、経常利益を同2倍以上に伸ばした(2020年12月期中間決算、連結ベース)。主力の虫ケア用品は天候などに左右されやすいこともあり、川端克宜社長はデータに基づくマーケティングの仕組みや、数字を重視する組織をつくり上げ、経営基盤を固めてきた。仕事の進め方では、人との出会いを重視する。自身の経験も踏まえて「巡り合わせは大切。人事でも縁を受け止める力が大切だ」と語る。

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――失敗から学んだ経験はありますか。

「18年12月期に約1億4000万円の最終赤字になりました。この2年前の失敗から学びました。外部要因もあったので、周囲からは『仕方ない赤字だったのでしょう』と言われることもありましたが、そうではなかったのです。当初は私も含めて組織として、感覚的に『大丈夫だろう』と見込んでいたのが反省点です。経営上の見込みと着地のずれをなくすことが、最大の課題だと、そのとき明確に分かりました」

「そもそも、判断のもとになるデータの集め方や分析の仕方が中途半端で、データの精度が高くなかったのです。そこで、組織の体制や数値管理の仕組みを変えることにしました。コンピューターから組織から人から、全てを変えたのです。以前は感覚に頼って予想している部分が大きかったのですが、現在は確たる数字で把握できるようになりました。そのおかげで現在は、外部要因で利益が予想より多少下振れすることはありますが、それも想定の範囲内で収められるはずで、非常に手応えを感じています。もし2年前の決算で純利益が出ていたら、一番大事なフレームワークが作れませんでした。当時は悔しかったのですが、今の体制をつくるきっかけになったんだとプラスに考えています」

――現場にいた時代、何を大切にしていましたか。

「支店長時代は主に営業などを見ていましたが、手段と目的を混同しそうになったことが何度もあります。営業の目的はシェアを上げて売り上げを上げること。そのための手段として、例えば小売店のチラシに掲載してもらったり、目立つ棚に配置してもらったりします。今でも、営業担当の会議に顔を出すと、『今回はチラシに掲載されなかった』といった報告を受けることがあります。でも、チラシに入らなくても売り上げが上がる方法が採れていれば、本当はOKのはずですよね」

「会社員は目の前の業務をこなすのに精いっぱいで、目的を見失ってしまうことはよくあります。だからこそリーダーは、目的をはっきり示して、仕事の軌道修正をしてあげるべきで、それが役割なのです。社員が日々の業務をしっかり果たしていること自体は否定しないように気をつけつつ、業務の意味や目的を教えれば、社員は自分で修正できます。真の目的を見失ったら駄目なんです。一方、手段は時代によって変わります。チラシも紙だけでなく、デジタルもでてきたりするので、手段は柔軟に変えて行く必要があります」

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