値引き規制でミドルクラスに狙いを定めるシャープ

一方、国内スマホ最大手となるシャープがauブランド向けに提供したのは、低価格で必要十分な機能を備えた「AQUOS sense」シリーズの最新モデルとなる「AQUOS sense5G」。実はKDDIは、発表会直前の9月19日にもauブランドで「AQUOS zero5G basic DX」の販売を開始していることから、シャープ製の新機種は実質的に2機種といえるだろう。

auブランド向けの新機種として発表された「AQUOS sense5G」。チップセットにミドルクラスの「Snapdragon 690」を採用し、より低価格で販売される5Gスマホとなる

これら2機種の中でも、シャープの戦略が明確に出ているのがAQUOS zero5G basic DX、そしてそのベースモデルとなる「AQUOS zero5G basic」だ。というのも「AQUOS zero」シリーズは、ディスプレー表示の滑らかさやタッチ反応の良さを重視するなどゲームプレーを重視したものであり、初代「AQUOS zero」や2代目の「AQUOS zero2」はいずれも快適なゲームプレーのため高性能のチップセットを搭載していた。

だがAQUOS zero5G basicはチップセットにミドルハイクラスの「Snapdragon 765」を採用、性能よりも価格を重視しているのだ。なぜシャープが、AQUOS zeroシリーズの最新機種で価格重視の姿勢を取ったのかといえば、そこに影響しているのが19年の改正電気通信事業法施行によるスマホの値引き規制である。

「AQUOS zero5G basic DX」は「AQUOS zero5G basic」のストレージを増やしたモデル。ゲーム利用に注力しながらもミドルハイクラス向けのチップセットを採用している

この値引き規制でハイエンドモデルは値段が高くなり、購入しづらくなってしまったことから、今後「どうしてもこの機種が欲しい」という明確な目的を持つ人以外はミドルクラスの端末を買うようになるとシャープはみているようだ。そこでシャープはハイエンドモデルを減らす一方でミドルクラスの端末バリエーションを増やすことにより、端末販売を大きく伸ばそうとしているのである。

実はシャープはこれら2機種以外にも、4Gだけに対応する「AQUOS sense4」「AQUOS sense4 plus」を新しいラインアップとして用意している。KDDIが5Gの普及に力を入れていることもあり、4Gの2機種がauブランドから提供される予定はないようだが、今後他の携帯電話会社やサブブランド、MVNO(仮想移動体通信事業者)などからそれらが提供される可能性は高いだろう。

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ソニーモバイルは「こだわり」狙いでハイエンドに集中