「書けない」ミドル・シニアは、これから厳しくなる

さて、振り返ってみて、そもそも日常の業務はどうでしょう。分かりやすい言葉にして話す、書くということができているでしょうか。

ここまで見てきた通り、ミドル・シニアが転職時に問われる「リーダーとしての必須基礎能力」は「言葉力」「文章力」だと言っても過言ではありません。そもそも私たちは、あらゆることを「言葉」「文章」で行っています。戦略構築、クリエーティブ活動、人と組織のマネジメント、人間関係・コミュニケーションなど、どの側面を取っても必ず「言葉」「文章」をもって実行されます。

私が日々、多くのミドル・シニアの皆さんと接していて、特に個人差が大きいと感じるのが「文章力」です。

リモートワークが広がり、オンラインコミュニケーションでやり取りされるビジネス文章は、そのテキストを通じて、業務上の情報のみならず、互いの人柄や内面もやり取りしています。私たちは、情報だけでなく、その背後にあるその人自体の人物を、意識・無意識にみています。こうしたことを前提としたメールコミュニケーション、オンライン上でのテキストコミュニケーションができる人とできない人との間には、業務力や関係構築力に非常に大きな差があるのが現実です。

形式張った文章しか書けないため、相手との心理的距離を全く詰められない人がいます。特に中高年に慇懃(いんぎん)な表現に終始してしまう人をよく見ます。一方で若手中堅世代でも、特に男性にはこうした「心理的つながり、距離感のコントロール」に無頓着な人を見かけます。こういう部分に気働きとちょっとしたヒューマンスキルを文章に載せられない人は、なかなかその後、ミドル・シニアとして成長・成熟していくことが難しいので注意が必要です。

私たちはこれまで「視覚情報(見た目、しぐさ、表情、視線)」55%、「聴覚情報(声の質や大きさ、話す速さ、口調)」38%、「言語情報(言葉そのものの意味、会話の内容)」7%という「メラビアンの法則」が成立するリアルワールドで生きてきました。ウィズコロナ下で起こることは、この比率が大きく変わることです。93%に甘えることが許された過去から、より言語情報依存度が上がらざるを得ない(おそらく5割かそれ以上)であろう明日へと。「阿吽(あうん)の世界」からの脱却が、ミドル・シニアの皆さんの転職を成功させ、その後の仕事力を担保することになります。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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