日産キックス 日本軽視を一掃、走りも見た目も大改良

2020/11/1
日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載したSUV「キックス」(写真:荒川正幸、以下同)
日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載したSUV「キックス」(写真:荒川正幸、以下同)
webCG

日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」を引っさげて登場した、新型SUV「キックス」。多くのライバルがひしめき合う激戦区で、勝算はあるのか? 市街地からワインディングロードまで走らせた印象をリポートする。

遅れたのにはワケがある

コアな日産ファンの間で、新しいコンパクトSUVのキックスには賛否両論あるらしい。その理由は、コンパクトSUVの世界的パイオニアとなった歴史的日産車「ジューク」の新型(は2019年に欧州発売された)が、日本に導入されないことだ。その事実上のかわりとして日本導入されたのがキックスなのだが、そのキックスは海外では2016年8月に発売されており、けっして真新しいクルマでないことも一部のファンは否定的にとらえたようだ。

白ナンバー登録車の日産ニューモデル登場はじつに2年9カ月ぶりのことなのに、それが海外では4年選手となれば、キックスじたいの良しあし以前に「日本軽視では?」とのツッコミを入れたくなるのも理解できる。ただ、ここであえて日産をフォローするなら、ここにいたるには紆余曲折(うよきょくせつ)があり、日産なりの手を尽くした結果であることも間違いない。

日産関係者によると、日本における初代ジュークの後継商品が検討されはじめたのは2016年という。それはジュークのモデルチェンジ作業のスタートでもあるのだが、くしくもキックスの海外販売とほぼ同時期である。

2010年に日欧で発売された初代ジュークは、その前衛デザインもあって当初は日本でもヒットした。しかし、前出関係者によると「デザインに特化した商品は売れる期間が短いという現実どおり、発売2年を経過したあたりから国内台数が明確に落ちた」という。

今回の試乗車は上級グレード「X ツートーンインテリアエディション」。オレンジタン×ブラックの鮮やかなインテリアが広がる

前記の2016年におけるジュークの国内販売台数は月間平均で730台。同年クラストップの「ホンダ・ヴェゼル」は月間平均で約6200台で、じつに8倍以上という台数差は「古くなったから」という理由だけでは片づけられなかった。ジュークがヴェゼルに負けていたポイントは、ハイブリッドがないことと後席や荷室の実用性だった。

いっぽうで、欧州でのジュークはある意味でカリスマ的な存在となった。高く評価されたデザインや走行性能はモデルチェンジでさらに磨くしかなく、それと相反する実用性が求められる日本市場が逆に足かせ……といった状況から、日産は2代目ジュークを欧州に特化させて、キックスの日本導入を決めた。

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