年5冊なら読書家? 「本当にそうか」が導く解決の道
第16回 批判的思考
本を読めば思考力が高まる?
いよいよ、読書の秋です。皆さんは、年間に何冊くらい本を買っていますか。こんな怪しげなコラムよりも、本を読んだほうが思考力が高まるかもしれませんよ。
全国出版協会の統計によると、2019年の書籍の総販売金額は6700億円だったそうです。乳幼児と超高齢者を除けば、1人当たり7000円くらい本を買っている計算になります。単行本なら5冊くらいに相当します。それくらい本を買っているでしょうか。
そう言われて、「私はそれ以上だから大丈夫」とか、「もっと本を買わねば」と思った方は、ぜひこのコラムを最後まで読んでください。もっと「批判的思考力」を身につけるべきかもしれません。
まずは、数字の前提を疑ってください。ここで言う書籍は、本の問屋(取次)を通して販売されたものだけです。アマゾンなどと出版社が直接取引している分は含まれていません。
同様に、電子出版の書籍もコミックの単行本も入っていません。それらを全部足し合わせると、販売金額はかなり膨らんできます。一般の人には分からないからくりが隠されているのです。
もっと重要なのは、「平均と比較することは妥当なのか?」です。本は、読む人と読まない人がハッキリ分かれます。一部の読む人は年100冊くらい買うものの、大半は1~0冊だと思います。嘘だと思ったら身近な人に尋ねてみてください。平均の5冊という人はほとんどいないはず。
しかも、本を読めば本当に思考力が高まるのでしょうか。たしかに、本をよく読む人に頭の切れる人が多い気がします。でも、頭が切れるからたくさん読んでいるのではありませんか。少なくとも、思考力が高まるような読み方をしないと、上がるものも上がらないのではないでしょうか。