人は覚えられることで組織の価値を生み出す

声をかけられなくなっている人たちは、決して仕事ができないわけではありません。ただ、ある理由から、自然に名前があがらなくなってきているのです。

それは名前を思い出してもらえる人の数が少ないから。

どんな人であっても、仕事をしている以上は必ず仕事の送り手と受け手に挟まれているはずです。

だから必ず送り手と受け手には名前が覚えられているはずです。

しかしこの時、決まった仕事ばかりをしているようであれば、覚えてもらうチャンスは減ってしまいます。また、チームの一員として仕事をしている場合にも、覚えてもらうチャンスは減ります。チーム名だけが覚えられ、担当者までは送り手や受け手の頭に残りません。

記憶に残る人の第1の特徴は、たくさんの種類の仕事をしていることです。それだけ多くの送り手と受け手に覚えられるチャンスができるので有利になります。

第2に、チームの責任者も覚えられやすくなります。チーム名とチームの責任者は一体となって覚えられることが多いからです。

だからメンバーシップ型雇用の時代には会社は、多くの部署をローテ―ション的に異動させ、管理職に出世させていくことで、互いに名前を知り合っているひとを増やしていくことをマネジメントの基本にしていました。そうすることで組織に共有の認識が拡大し、イノベーションを起こしやすくするきっかけにもなったからです。

脱メンバーシップ型の組織では「良い仕事」がさらに重要に

しかしこれからの時代、メンバーシップ型雇用が縮小して、ローテーションも管理職志向の出世も減っていくとすれば、私たちはどうやって誰かの記憶に残ればよいのでしょう。

メンバーシップ型を脱却した先の一形態として、ジョブ型雇用という方向性が示されています。アメリカを中心に世界で標準化されているジョブ型雇用では、ローテーション的な異動はほぼありません。だから長く勤務しているというだけでは人に覚えられる機会は増えません。

管理職に出世すればチームを代表するようにもなりますが、それでも業務の送り手と受け手に覚えてもらうことが大半でしょう。

大事なことは、送り手や受け手のさらにその先の人たちに存在を知らしめることであり、上司のさらに上司に知られることです。

そのためには「良い仕事」をしなくてはいけません。

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