ソニー「着るエアコン」 効果や持続時間に物足りなさ
今回の目利き 吉村永氏
「着るエアコン」と話題になったソニーの小さなデバイス。折り畳み式携帯電話をひと回り小さくしたようなサイズで、体に装着すると涼しさを感じられる。仕組みはパソコンのCPU(中央演算処理装置)クーラーと同じ。体につける部分は名刺の半分ほどのサイズのシリコン。熱伝導率の高いこの部分に伝わった熱を熱交換デバイスであるペルチェ素子で移動し、小さな内蔵ファンで外に放出する。
本体操作部には押しボタンがひとつあるだけ。細かな設定はブルートゥースでスマホに接続し、専用アプリで行う。電源は内蔵リチウムイオンバッテリーで、持続時間は約2時間半。安全のため、連続使用時は30分で一旦、電源が切れるようになっている。1万3千円。
実際に試した。手に持って冷たくしたいところに当てて使うのもいいが、専用の別売インナーTシャツ(ベージュと白の2色・3サイズ。各1980円)を用意すれば、常時装着が可能になる。これは東レインターナショナルの開発によるもので、吸汗性の高い素材でできている。去年あたりから首掛け式のファンなどが普及し、酷暑の対策方法として認知度も高まってきた。それに比べて本製品は気温がセ氏40度に近い日の屋外でも確かに冷たさを感じさせてくれたのだが、あまりにも冷却部分が小さいために、「うちわなどを追加してもっと広い範囲を冷やしたい」と感じる場面が多かった。
逆に、クールビズ前提で冷房設定温度が高めのオフィスなどで暑さを感じたとき、通勤電車の中などでは周囲に目立たずに涼しさを得られて便利。とはいえバッテリーの持続時間が短く、せめて半日ほどは気にせず使えるようになればと感じた。
ヒーターとして寒くなっても使える。携帯カイロに比べて、電池持続時間が短いのが残念だが、こまめに温かさをコントロールしやすいのは魅力。ウエアラブルにこだわったのはいいが、効果も使用時間も物足りない。バッテリーやファンを強化したハンディータイプも欲しい。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年10月1日付]
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