プログラミングを必要としないソフトウエア開発は世界的な傾向で、米調査会社ガートナーは、2024年までにソフト開発の65%がこうした手法になると予測しています。東芝の島田太郎執行役上席常務(最高デジタル責任者)は、「ソフトウエア開発が簡単になるのは歴史の流れ。今後はプログラミング能力より、何を作るかというコンセプトを生み出す能力が重要になる」と話しています。

島田太郎・東芝執行役上席常務「やりたいことを手軽に実現」

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用して、業務やビジネスに役立つシステムを「自作」しようという活動が、企業や大学などの参加で始まっています。ソフトウエアのノーコード開発と同様に、プログラミングの作業なしでシステムを作れるのが特徴です。推進団体である「ifLinkオープンコミュニティ」の代表を務める東芝執行役上席常務(最高デジタル責任者)の島田太郎さんに、プログラミング不要のソフトウエア開発やシステムづくりが注目を集めている理由やメリットを聞きました。

――ソフトウエア開発やアプリ開発で、プログラミング作業を必要としない「ノーコード」や「ノンプログラミング」が盛んな理由は何でしょうか。

島田太郎・東芝執行役上席常務(最高デジタル責任者)

「ソフトウエア開発の歴史の必然と言えます。プログラミングは時代とともに簡単な仕事になりつつあります。これはプログラムが動くコンピューターのハードウエア性能が急速に向上したことと関係があります。以前はコンピューターのメモリーの制約のために、プログラマーはとにかく頭を使って無駄のないコンパクトなプログラムを書いていました。そうしたプログラムをすらすらと書ける人は天才だ、などと尊敬されていた時代です。私自身も若いころに航空機の設計業務でプログラムを書いていましたが、必要以上に長いプログラムはご法度で、先輩から『プログラムというものは1枚の紙に収まるよう書くものだ』と注意されたものです」

「その後コンピューターのハードウエアの性能が飛躍的に向上しました。特に大容量で安価の半導体メモリーやハードディスクが使えるようになって、こうした制約はなくなりました。今ではコンピューターのハードウエア資源をそれこそ湯水のように使って、長いプログラムを開発したり動かしたりできるようになりました。プログラムを記述するプログラム言語もかつては習得に時間がかかりましたが、最近よく使われるPython(パイソン)などは、もはやプログラム言語とは思えないほど平易で、誰でも少しの勉強でマスターできると思います」

「ノーコードとかノンプログラミングというのは、さらに進んでプログラムコードを意識しなくてもソフトウエア開発ができるようにしたものです。ソフトウエアにやらせたいことが部品のような形で用意されており、それらを組み合わせるような感覚でソフトウエアを完成させることができます。プログラムの知識がない人でも、コンピューターで自分がやりたいことを手軽に実現できる時代が訪れました」

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