嫌いな芸人 『M-1』王者の久保田かずのぶ、初の1位
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2020年版「1番嫌いなお笑い芸人」は、とろサーモンの久保田かずのぶが初の1位に。『M-1グランプリ』の審査批判から1年半以上たつが、テレビで見る機会がまた増えてきたことが票に反映したと見られる。昨年、調査開始から16回目にして初めて1位となった明石家さんまは7位に交代した。
日経エンタテインメント!では、20年で17回目となるお笑い芸人の人気調査を実施。全国の男女1284人を対象に「1番好きなお笑い芸人」「1番嫌いなお笑い芸人」「この1年で最もブレイクしたと思うお笑い芸人」「これから1年で消えると思うお笑い芸人」の4項目で人気度を調査した(調査の詳細は「好きな芸人、サンドウィッチマン3連覇 3位劇団ひとり」をご覧ください)。
1位の久保田かずのぶは、理由は「キャラクターが嫌いだから」(84%)が最多で、女性票が約9割を占める。「人を不快にさせたり、暴言を吐いたりするのはやめてほしい」(44歳女性)といった声が多く、2018年の『M‐1』審査にからんだ暴言がいまだに尾を引いている。なかでも顕著に否定的だったのが25~34歳女性。昨年は様々なバラエティやネタ番組で『M‐1』王者の実力を発揮していたが、厳しい視線が消えるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
2位はナダル。久保田同様「キャラクターが嫌いだから」(84%)が最多理由だが、久保田と違うのは、男女共に全世代で上位にいること。バラエティでは他者に対して失礼な言動を見せることがたびたびあり、「あまりにもポンコツすぎる」(46歳女性)とその振る舞いに嫌悪感を示す声が寄せられた。
3位は村本大輔で、やはり「キャラクターが嫌いだから」(80%)が理由のトップ。ほかの芸人と比べて「政権批判は笑えない」(42歳女性)、「与党や首相を非難しているさまがむかつく」(44歳男性)と、政治への発言に対するコメントが多いのも特徴だ。
初めて20位以内に名前が挙がったのは4組。なかでも最も順位が高かった木下隆行は、パワハラにからむ事務所の退所報道が反映されたと思われる。退所後にカジサックのYouTubeチャンネルに出演したが、「やるべきじゃなかった」と世間の批判を受けたのは記憶に新しい。
そのカジサックも10位に初登場。チャンネル登録者数が205万人を超える日本トップクラスのYouTuberとなって話題に上る機会が多くなったが、その分、反感を持つ人も増えたということだろう。経緯は異なるが、11位の宮迫博之も"事務所退所"、"YouTuber"で話題になった1人。本人が直接コメントする機会ができたのは悪いことではないが、見え方次第で支持も簡単に失うことを物語っている。
昨年1位だった明石家さんまは7位に後退。もともと不動のミスター「好きな芸人」だったさんまは、同時に「嫌い」の常連でもあったため、今年の結果は2年前に戻ったとも読める。芸風に対しては賛否両論あるものの、コメントする人の数が多いのは、関心を集める存在であることの表れだろう。
全体としては人間性を問われるドッキリ系の企画で評判を落とした芸人や、ネットで炎上した芸人に票が集まる傾向が見られる。
(ライター 遠藤敏文)
[日経エンタテインメント! 2020年9月号の記事を再構成]
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