北米の鳥 年25億羽以上がネコの犠牲、絶滅にも関与

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/10/17
ナショナルジオグラフィック日本版

写真家ジャック・ワンダリー氏の作品。2019年、ネコに致命傷を負わされ、米国カリフォルニア州の動物病院「ワイルドケア」に運び込まれた野生の鳥類、げっ歯類、爬虫類などを撮影した(PHOTOGRAPH BY JAK WONDERLY)

死んだ動物の美しさを写真にとらえられるだろうか? 写真家ジャック・ワンダリー氏にとって、それは新しい挑戦だった。

ワンダリー氏の写真「Caught by Cats(ネコに捕らえられて)」は2020年、写真コンテスト「BigPicture Natural World Photography Competition」の人・自然部門で最優秀賞に輝いた。この写真はある残酷な現実を映し出している。それはつまり、この写真1000万枚分に相当する、何十億という動物たちがネコに命を奪われているという現実だ。

この写真を撮るきっかけとなったのは、米国カリフォルニア州にある非営利の野生動物病院「ワイルドケア」の仕事だった。ワイルドケアには19年、ネコに襲われて負傷した動物が321匹運び込まれたが、そのうち89匹しか生き延びることができなかった。ワンダリー氏の写真に収められているのは、命を救うことができなかった残りの232匹だ。

「これだけ多くの動物を目の前にし、彼らは皆、同じ原因で命を落としたのだと知り、今起きていることについて深く考えさせられました」と、ワンダリー氏は振り返る。

ワンダリー氏は死体の並べ方を熟考した。多くの動物が命を落としていることが一目でわかり、同時に、時間をかけて細部まで見てもらえるよう工夫した。写真撮影のアイデアを出したのはワイルドケアのアニマルケアディレクター、メラニー・ピアッツァ氏。ピアッツァ氏は20年以上にわたって野生動物のリハビリテーションに取り組み、負傷した野良ネコと野生動物の治療にあたってきた。

「Caught by Cats」プロジェクトは心を揺さぶられる体験だった。撮影前日、ピアッツァ氏がワイルドケアの冷凍庫から死体を取り出し、解凍するため自宅に持ち帰った。当日、ピアッツァ氏が傷口を包帯でふさぎ、体にブラシをかけ、ワンダリー氏が死体を並べ、写真を撮影した。

「不快な写真にならないこと、衝撃的な写真にならないことが目標でした。可能な限り動物たちへの敬意を示し、人々が動物たちの美しさに魅了されることを目指しました」

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