スーツやジャケットをオーダーする際、知っておきたいのがバラエティ豊かな生地の特性だ。基本的な生地については「十分理解している」と思っている洒落者はきっと多いと思う。が、男性の装いが時代とともに変化するにつれ、ニーズも変化する。この数年はまさに激変。その中、ファブリックのラインアップにも、最近は大きな変化が表れている。一方で、働き方に合わせた機能素材も次々に登場。中には抗菌性を持ったものまで登場してきた。そんな激動の生地事情を紹介する。あなたの生地の知識を、ぜひアップデートしてほしい。
今求められるのは、洒脱セットアップを支える生地
「コーデュロイ、ツイード調」
スーツに変わり、上下の単品使い、またはスーツとしても着られるセットアップの人気が急上昇中。汎用性の高さゆえ、今後は従来のジャケスラのポジションに代わる存在になりそうだ。そんなセットアップでは、オーソドックスなスーツ風の生地よりも、コーデュロイやドネガルツイードが注目されている。その理由は個性的かつ英国カントリー風でも色柄が主張しすぎないから。タータンチェックなど伝統的な英国柄のツイードも、根強い人気を誇るが、こちらはジャケット用に選ばれることが多い。
このジャンルの特徴
・軽快感や洒落っ気の強さがポイント
・現代的な仕上げのものも増えている
・イタリア製生地も英国風に注力
・英国カントリー調が人気高し
■MAGEE(マギー)
【ドネガルツイード】かつては硬い印象の強かったツイードだが、写真の一枚は昔気質のものと違い、ソフトな仕上がり。グレー系の地色に赤いネップの入った素材で、風合い、色調とも過度にカントリー風ではなく、日常使いしやすい。
■HARDY MINNIS(ハーディー ミニス)
【エスカデール】スラックス用として企画されているが、スーツとしても重宝されているのが「エスカデール」のコーデュロイ生地。仕立て映えするハリとコシを備えている。流行に関係なく、定番として長く愛用できる太めの畝も魅力だ。
■NAKADENKEORI(中伝毛織)
【尾州ツイード】かなりハリがあり、素朴な風合いを披露するオートミル。三越伊勢丹のエクスクルーシブ生地で、紡毛を得意とするメーカーらしい、重厚な仕上がりに。 オーダースーツ18万円/テーラーケイド(伊勢丹新宿店)
■HOLLAND & SHERRY (ホーランド&シェリー)
【ムーアランドツイード】適度な厚みはあるものの、古風なツイードより毛羽立ちも控え目で軽やかかつ、ソフトタッチ。ミックスヤーンによる色の深みも見事。 スーツ13万3500円/麻布テーラー(Y&Mプレスルーム)
■REDAELLI (レダエリ)
【コーデュロイ】ライトウエイトで都会的な装いができる今どきのコーデュロイがこちら。畝が細く悪目立ちしない点が特徴。コーデュロイとしては薄い部類でコンサバに見せつつ、いまどきの実用性にも優れている。