複数内定、絞れない21年卒 内定式後も吟味続ける就活探偵団

イラスト=強矢さつき
イラスト=強矢さつき

10月1日は内定式。例年なら正式に内定が決まり、気持ちを引き締める節目の日だ。だがこの2020年はちょっと様子がおかしい。一部の学生は複数の内定をいまだに持ち続け、内定式後も入社にふさわしい企業かどうか吟味し続ける。一方で新型コロナウイルスの影響に翻弄され、いまだ内定のない学生も一定数いる。21年春の入社まであと半年。就活というトンネルの出口はまだ見えない。

「内定したという証拠がない。人生がかかっているので、仮に取り消された場合は被害が大きすぎる」。都内私大4年の女子学生はメーカー2社の内定を承諾したまま10月1日を迎えた。

オンラインでの選考で内定を獲得し、内定先の人事担当者にはまだ対面していない。内定通知書のような書類も手にしていない。内定した実感がわかないうえ、景気の先行き不透明感から内定取り消しの不安もちらつく。

就活を始めたのは3年生にあがる直前とほかの学生より早かった。内定先のA社はインターンシップ(就業体験)に参加したこともあって、会社の雰囲気は把握できている。

一方B社も魅力的だが、インターンには参加していない。そのため選考の過程で得られる情報の範囲内では理解したが、本音ベースの話や入社後のキャリアパスなどはまだ聞けていない。「働くという将来像が得られていない。最終的にどちらの会社にするかは10月末には決めたい」

例年は学生と企業が対面する晴れの場だが、今年は双方不安を抱えたままオンラインで臨むケースも多かった(写真は2018年10月、都内大手企業での内定式の様子)

4人に1人が複数内定承諾者?

人材スタートアップのマイリファー(東京・中央)が7月に内定を持つ学生を対象に実施した調査によると、内定を2社以上承諾すると答えた人は25%に達した。そのうち、内定式後に絞るとした人は57%と半数を超えた。

複数に内定承諾する理由については「どの内定先が自分にあっているか決め手にかける」が48%と最多。次いで「不景気による内定の取り消しが不安だから」(45%)、「選考スケジュールがずれていて、複数承諾せざるを得ないから」(42%)と続いた。

こうした動きに企業側は戦々恐々としている。ある流通系企業は内定を出した12人のうち、11人から内定承諾をもらった。例年なら承諾をもらった学生はそのまま春に入社するので安心できるはず。しかし「今年に関しては承諾後の辞退もあるかもしれない」(採用担当者)と身構える。そのため月に1度は用件がなくても電話し、様子をうかがう。

ユニークな取り組みで先手を打ったのは不動産のエスケーホーム(東京・新宿)。普通なら早く採用人数を確定させたいために早めに設定する内定承諾の期限を、今年はあえて学生に決めてもらうことにした。

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