一枚の紙に無限の可能性 東大寺学園の折り紙研究部東大寺学園中学・高校(下) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

――いままでの活動で印象に残っていることは?

これくらい折れるようになるときっと楽しい

中2の文化祭で鶴を大量に折ったことですね。高度な作品をつくることにモチベーションを感じている熟達者からすれば「そんなことして意味あるの?」という話なんです。でも僕は初心者だったから、量で勝負しようと思って、大量の鶴を折って、それを展示しました。すると来場者のひとたちにはものすごくウケたんです。折り紙の熟達者と一般のお客さんとでは感動するところが違うということですよね。ですから、折り紙のテクニックが上がったとしても、一般のひとがどんな作品を見たがっているのか、どんな作品に感動するのかという観点は忘れてはいけないと思いました。中3ではカエルを4000匹折りました。あれは大変でした。ギネスブックの記録を超えていたので申請してみたのですが、認められませんでした。いろいろ政治力が必要なようです(笑)。

――折り紙の魅力って何ですか?

有志団体創立者の生徒が中3のときに作成した卒業論文

紙って、私たちの身近にあって、当たり前のように毎日大量消費されているじゃないですか。でも、たった一枚で、これだけいろいろなものが表現できて、世界観が広がります。その創造性の豊かさが魅力だと思います。

折り紙研究部の部員の多くが鉄道研究部や電子工作部との兼部をしている。何かをつくり、表現する手段の一つとして折り紙をとらえているようだ。紙を切ったり継ぎ足したりしたら折り紙ではない。あくまでも1枚の正方形の紙を使うという制約のなかに、無限の可能性を見いだす。折り紙のロマンがちょっと理解できた気がした。

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東大寺学園中・高等学校(奈良市)
「奈良の大仏」で有名な東大寺の境内に1926年に設けられた勤労学生のための夜間学校にまでそのルーツを遡ることができる。高校から1クラス分の入学枠があり、高校の1学年は約220人。2020年の東大合格者数は36人、京大が60人、国公立大学医学部が58人。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の直近5年間(2016~20年)平均は137.2人で全国5位。卒業生には、俳優の山西惇氏、東宝社長の島谷能成氏などがいる。

新・男子校という選択 (日経プレミア)

著者 : おおたとしまさ
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)

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