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臭みも抜けて身が締まる 「塩ヅケ」刺し身のススメ

魅惑のソルトワールド(46)

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NIKKEI STYLE

多少鮮度が落ちてしまった魚をおいしく食べるにはどうしたらよいだろうか。一つには、しょうゆやしょうゆベースの調味液に漬け込む「ヅケ」という技法がある。最近は、この漬けの塩バージョンに注目が集まっている。魚を「塩ヅケ」にするとなぜおいしくなるのか、そのメカニズムなどについて触れてみたい。

魚に塩をまぶして寝かせる技法は、実は身近な手法といえる。代表格が「塩鮭」だ。全国各地の鮭料理についての歴史や文化・風習などを研究した「鮭鱒聚苑」という本にも、「塩ふらずして鮭にあらず」という言葉が出てくる。塩は鮭をおいしく食べる上で欠かせないアイテムにもなっている。「塩ヅケ」には味付けや保存という目的に加え、魚の生体もそこに深く関わっている。

一般に海水魚は海水の中で育ち、魚の体内には一定濃度の塩分が含まれている。海水の塩分濃度の方が高いため、浸透圧で常に体内の水分が吸い出される状態になっている。体内から水分が吸い出されると、塩分濃度が上がるため海水魚は大量の海水を摂取し、余分な塩分を排出しながら生きている。魚の身には元来、水分が多く含まれているわけだが、時にこれが「なんだか水っぽい」という印象を与えてしまう。さらに魚の生臭みをとるため真水で洗うと一層、真水が身に入り込み、水っぽさが増してしまう。これでは魚のおいしさ台無しである。

そこで塩の出番となるわけだ。塩をまぶしてしばらくおくと、魚の身の中の余分な水分が抜けて、身が締まる。咀嚼(そしゃく)回数が増えれば、うま味を感じやすくなり、さらに水分と同時に臭みの元となる成分も抜ける。若干鮮度が落ちていたとしても、臭みを感じにくくなる。魚を塩づけで食べるのは、良いことづくめということになる。

塩ヅケにする際のコツは、柵の状態で行うこと。一口サイズに切り分けてある刺し身の状態だと、空気に触れる面積が大きく、酸化が早く、臭みが出やすい。おまけにドリップが出て、魚のうま味成分も抜けてしまいがちだ。塩ヅケの刺し身をおいしく食べるなら、柵を使うのがおすすめだ。

塩ヅケの作り方を具体的にご紹介しよう。柵で手に入りやすいマグロを例にしてみる。まずは、柵の表面にまんべんなく塩をぬりたくる。塩を塗ったら、バット(角形の浅い容器)などの上にマグロの柵をちょっと斜めにして置き、15分から20分ほど放置。第2のポイントは冷蔵庫の中で寝かせるか、氷などを活用して低温を保つことである。魚は温度が高くなると自身のもつ酵素が活性化し、うまみ成分を分解し、間の抜けた味になるからだ。室温20℃の場合、低温の時の約30倍近くも酵素が活性化するという実験結果もある。魚の香りが冷蔵庫全体にも移るので、バットごとラップをかけるのをお忘れ無く。

15分から20分経つと、バットにマグロから出た水分がたまっているはず。マグロの表面の塩をさっと洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取った後、切り分ければ完成だ。

切り分ける際は、できるだけ厚切りにする。塩ヅケにして身が締まったマグロは、そのまま食べるマグロよりも少しねっとりとした食感になる。前述したが、咀嚼回数が多いほどマグロ本来のうまみを堪能できるので、厚さ1センチくらいはほしい。これが3つ目のポイント。

一般に魚の断面の細胞がぐちゃぐちゃになると、水っぽくなったり舌触りが悪くなったりする。切る際はくれぐれも包丁を往復させず、先端から根元までしっかり使い、奥から手前に引くようにして1回ですっと切り分けるように。

この塩ヅケマグロはほどよく塩味がついているので、そのままでもおいしいが、わさびなどの香辛料やかんきつ類とも相性が良い。1つの味だけでは飽きてしまうという人向けに、いくつかアレンジして味わう方法もご紹介しておこう。

▼カルパッチョ風塩ヅケマグロ

皿に塩ヅケマグロを並べて、その上からエクストラバージンオリーブオイルとレモン果汁をまわしながらかけ、小口切りにしたあさつきなどを散らす。

▼中華風塩ヅケマグロ

器に角切りにした塩ヅケマグロを入れ、ごま油、白ごまとあえ、その上に白髪ネギを添える。

▼塩ヅケマグロのマリネ

塩ヅケマグロに米酢、砂糖、香辛料を入れて一煮立ちさせ、冷ました調味液に30分ほど漬けてマリネにする。

生魚の柵が容易に入らない場合は、冷凍でもOK。ただ、冷凍品を解凍して使用する際には、解凍途中で菌が繁殖する温度帯をいかに素早く通過させるかが、臭みを出さない上でポイントとなる。そのためには、ぬるま湯に塩を溶かし、そのまま冷凍魚を漬けながら解凍する。塩水の塩分濃度の目安は3%。魚を海に戻してあげる、といったイメージだ。

今回はマグロを例に挙げたが、カツオやほかの魚で試してみてもいい。強いていうなら、白身魚の場合は赤身よりも味が淡泊なので、少し塩加減を落とすように。様々な魚のうまみや香りを引き出す塩ヅケにぜひチャレンジしてみてほしい。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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