リングなしルーズリーフや骨格だけ手帳 便利文具3選
テレワークでマンネリ化しがちな自宅作業も、驚きの発想から生まれた新しい文具を使うと気持ちがリフレッシュされるだろう。日本最大級の文具関係の商談会「国際文具・紙製品展」、通称「ISOT」が2020年9月初めに東京で開催された。文具を長年見続けてきた納富廉邦氏が、会場で見つけた便利な新商品を紹介する。
リングのないルーズリーフ
1冊からノートをオーダーできるブランドなどを展開していた研恒社(東京・千代田)と、ウエアラブルメモ「wemo」などのデザインを手掛けるkenma(東京・新宿)の合同ブランド「PageBase」が、20年12月に発売を予定しているのが、「リングのないルーズリーフ」というキャッチコピーのノート「SLIDE NOTE」。仕組み自体は、昔からある紙を挟んで、その端を留める「製本ファイル」と同じ。しかし、表紙をしっかりした素材で作り、紙を留める部分を差し込み型ではなく、背の部分をスライドさせるだけで紙の着脱を可能にしたところが新しい。
研恒社がもともと展開していた、オーダーメードのノート用に作っていた様々なフォーマットの用紙を、リフィルとして提供する予定だという。リフィルには一般的な横けいや方眼けいだけでなく、バスケットボールや野球の戦術を書くためのフォーマットなど、他では見られない用紙が数多くある。それらをルーズリーフのように好きに選んでとじれば、リフィルの入れ替え可能なオリジナルのノートとして使える。確かにこれはリングのないルーズリーフだ。サイズが、A4、A5、B5と3種類用意されているのもうれしい。デザインなどはこれからさらに詰めていくそうなので、楽しみにしたい。
「骨格だけ」のシステム手帳
システム手帳に力を入れていて、最近では小型システム手帳の「ミニ5穴」の流行に一役買ったアシュフォード(東京・台東)の「Design Refill Pad」も面白い製品だ。樹脂の板にバインダーのリングとゴムバンドを付けて、そのリングに表紙用の樹脂板が付いているだけの、いわば「骨格のみ」のシステム手帳だ。最近のシステム手帳は、何でもそこにとじて情報を一元管理する使い方ではなく、必要なリフィルだけを軽快に持ち歩く、編集できるノート的な使われ方がメインになっている。ならば、このようなシンプルな構造にしたほうが使い勝手もよいというわけだ。
注目は、表紙の色に合わせたオリジナルのリフィルを作っていること。このDesign Refill Padを買わないと手に入らないリフィルとして、各色の製品にそれぞれとじられて販売される。リフィルのないタイプや、Design Refill Padを差し込んで使えるポーチなども同時に発売される。サイズはバイブルサイズとミニ6穴サイズ。システム手帳というよりも、メモやノートを必要な分だけ持ち歩くためのファイル的な製品。ここまでミニマムに作ってあると、用途がとても広くなる。それこそ従来のシステム手帳的にも使えるし、複数用意してファイリングとメモを兼ねるような使い方もできる。価格も手ごろなので、メモ帳代わりに買っておくのもよいだろう。
絵を描いて壁に飾れる
太陽マーク(大阪市)が発売するのは、フレーム+キャンバスでその名も「Fravas」。キャンバス風にエンボスが付いた紙で、そこに絵などを描いてから組み立てると、なんとパネル張りした作品になるという製品だ。組み立てて立体にするだけなのに、絵が立派な作品に見えてしまうから不思議。壁に掛ければ、子どもの絵でさえ、鑑賞を楽しめる作品になる。
キャンバス風のエンボスのおかげで、描線や塗りが味のある表現になる。縁に色が付いているバージョンを使えば、ますますパネルらしい雰囲気に。色のないバージョンで、縁を気にせず描けば、組み立てた時に迫力のある構図になったりする。紙なので画材を選ばず、色鉛筆でもクレヨンでも、絵の具でもペンでも、好きに使えるのも魅力だ。軽いので、くぎなどを打たなくても壁に掛けられる。
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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