年齢はジョークみたいなもの 今を楽しむ秋吉久美子氏

詩吟やヨガ、興味持って挑戦

――最近、詩吟をはじめられたそうですね。

「2年前から。ずっとやりたかったんです。詩吟って、いろんな意味でいい。まずは難しげな漢詩の世界になじむでしょ。漢詩イコール『ちょっと待って、知らない漢字ばっかりだ~』、じゃなくて、いやが応でもその世界に入っていく。やっと教本が3冊目に入って杜甫が登場した。もうすぐ李白も出てきます。高校生の時のように、レ点はどこ、なんて考えずに文法もクリアできる。面白いし、かっこいいですし」

私はこれよ、っていうことをあまり主張しません。相手によって、器の広さを変えられる柔軟性を持ちたいですね

――発声にもいい影響があるのですか。

「詩吟は最初から声を張るんです。始めたころは4行の七言絶句ばかり。8行の七言律詩が増えてくると、高音が続いて声がもたない。それでうまいことやろうと4行目までは抑え気味にして、最後の方で声を出したら、先生が『最初から声を張らないとだめ』だと。詩吟は(シャンソン歌手の)エディット・ピアフの歌い方に似ています。声を張って、ずっと、『進め、進め』なんです。押したり引いたり、抑揚で情緒を持たせるのではない」

「詩吟に興味を持つ前に、韓国映画でパンソリ(物語などを歌う口承文芸)を知り、高音でばーっと歌うのを聞いて、感動しました。あと、チベット密教のお坊さんは読経で低音と高音、2つ声を出す。声を楽器として使うんですね。詩吟の世界も何か近いものがあります」

――声を出してエネルギーを使うだけじゃなく、知の探求にもつながりますね。

「詩の意味を知る、発声を知る、漢字を知る。日本の詩はエッセーと一緒ですが、中国の詩は1行で成立して、8行でまた完結されて、韻も踏む。いろんなことが分かってきます。あとね、漢詩を書いた学者たちの運命。死罪になったり、島流しになったり。すごい時代を生きているなと思いながらタイムトリップして、自分がいま生きている空間じゃないところに連れて行かれる」

――楽しみが重層的に広がっていくわけですね。

「そう、物事を重層的に蓄積していったり、今度は重層的に物事を広げていったり。生きることには、その醍醐味がすごくあります。つまんない日が続いていたのにある日、瞬間的に、ぱぱぱって、オセロゲームのように白黒が全部ひっくり返って何かが見える時があります。最近、そんなことが増えている。啓示かな。もうすぐ死ぬのかな、なんて」

――ヨガも始められました。何か発見がありましたか。

「ヨガもだんだんと面白みが分かってきました。例えば最後にする『死体のポーズ』というものがあります。体の中心から足も腕も45度に開く。そして5分休みます。そうするとレム睡眠のように、ヨガで経絡と呼ぶ体の内部を刺激してきたものと疲れとが、すーっと消えて違う次元にいけるときがある。それもまた楽しいの。1時間以上いろんなポーズをとっているのは、この最後の死体のポーズのためなのかなと」

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