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住商 在宅勤務に悩む上司、個人面談や雑談時間で工夫

住友商事 杉本亮人事厚生部労務チーム長(下)

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NIKKEI STYLE

前回、「緊急宣言時は出社率2% 住商の在宅勤務のノウハウ」で住友商事が緊急事態宣言の解除後も積極的に在宅勤務に取り組んでいることを聞いた。その結果、見えてきた課題は何か、どう対策を実施しているのか、人事厚生部の杉本亮労務チーム長と武藤千明主任に聞いた。

上司はコミュニケーションに悩み

白河桃子さん(以下敬称略) 気になるのは生産性の部分です。原則在宅勤務の働き方に移行してから、生産性に変化はありましたか?

武藤千明さん(以下敬称略) 原則在宅勤務をスタートして1カ月半ほどたった4月時点でアンケートを実施しました。すると、個人の作業効率における生産性については、出社勤務と比べて「プラス」「ややプラス」「変わらない」と回答した人が約6割となりました。通勤を含む移動がなくなったことで「身体的負担が軽減した」という声や、「子育てと両立しやすくなって働きやすさが向上した」という声も見られました。

一方で、組織の生産性の観点では「ややマイナス」「マイナス」の回答が6割に。主な要因としては「対面でのコミュニケーションが取れなくなり、業務遂行が難しい」「自己規律でパフォーマンスを維持するのに苦労する」「なつ印を伴う業務が滞る」といったものでした。

白河 やはり管理の問題の難しさが出てくるのでしょうか。御社の働き方改革の方向性は「自律的な働き方」を目指すものなので、どこまで任せてどこまで管理するか、バランスの見極めは重要ですね。

杉本亮さん(以下敬称略) 悩んでいるのはどちらかというと上司のほうですね。オフィスに出社する働き方だと、顔を見たり、挨拶を交わしたりするだけでなんとなく部下の様子が分かっていたのに、在宅勤務だとそれが難しい。かなり意識的にコミュニケーションを取りにいかないと部下の様子が見えづらいですし、部下も遠慮してなかなか上司に相談しないようでして。部下の様子について「リモートだから見えづらい」のか「リモートになる前からちゃんと見ていなかった」のか、あらためて問い直すきっかけにもなっているのではとも感じます。

武藤 新入社員に業務を一定期間教える指導員役の社員たちも、「隣の席にいたら10秒程度で説明できることが、リモートでは難しい。指導に時間と労力がかかる」と悩んでいるようです。指導員同士をつなぐ場を設けて問題解決を支援するようなフォローも各現場では始めていると聞いています。

杉本 これからは課題解決のためのノウハウ共有が重要になっていく段階ですね。チームによっては、1on1(個別面談)の習慣を始めてみたり、ビジネスチャットを活用して小さな困り事を解決したり、あえてウェブ会議で雑談の時間を設けてみたりと工夫を始めていますので、社内のノウハウを共有できる仕組みづくりを強化していきたいと考えています。

健康面への配慮も必要

白河 勤務時間の管理はどのように? テレワークではメリハリがつかず、長時間労働になってしまう人もいるようです。

杉本 基本的には自己申告とパソコンのログの両面で見ています。もともと2018年11月からコアタイムなしのスーパーフレックス制度を導入し、朝5時から夜10時までの間の連続1時間以上働けばいいというルールで運用していまして、個別の事情に合わせた柔軟な働き方を推進してきました。ただし、在宅勤務は長時間労働になりやすいリスクもありますので、健康面の心配は常にありますね。

白河 実際、残業時間は増えたのでしょうか?

杉本 3月には手続きの変更業務などで一時的に事務系の残業時間が増えましたが、今は比較的落ち着いており、昨年度と比較し大きな変化は見られません。

白河 コスト面では大きな変化がありそうです。例えば、海外赴任や出張が減ったとなると、経費削減効果は大きいのではないでしょうか。

杉本 そうですね。駐在に関しては各国の状況を見ながらの対応になっていますが、出張は限定的です。取引先のお客様が必ずしも対面を希望されなくなったという変化も大きな要因です。今後は転勤のあり方も含めて人員配置を見直す動きが増えてくると思います。

白河 1時間の会議のためだけに片道4時間半かけて出張する。そんな働き方の無駄に気づいた人も多いですよね。

杉本 個人的には、そういった余白の時間に読書をしたり、移動中にたまたま目にした何かが発想につながったりと、豊かさをもたらすものでもあるのではないかとも思うのですが。効率性だけが追求されることへの不安もあります。

白河 おっしゃるとおりで、私たちが失いかけているものもありますよね。重要なのは、従来の働き方とテレワークの「いいとこどり」のバランスをとっていくことだと思います。その中で、オフィスの価値も当然変わっていくはずです。

杉本 オフィスは皆でアイデアを持ち寄って、一緒になって刺激し合ってイノベーションを起こしていくための場になるのではないでしょうか。オフィスでディスタンス(距離)を保ちながら、密に会話を交わしていく、効率よく進めたい作業はリモートで。そんな使い分けが今後は徹底されていくのではないでしょうか。

リアルとリモートのバランスをどうとるか

白河 総合商社の仕事は、新たな人との出会いによってつくられる部分も大きいですよね。御社は「アルムナイ(同窓生)」のネットワークなどをつくり、意図的に会社外の出会いを模索していましたが、コロナ後の新しい働き方の中でいかに価値をつくっていくかが問われていきそうですね。

杉本 おっしゃるとおりで、大きなテーマに直面しているところです。この半年間は「過去の貯金」で仕事ができた時期であって、これからリアルとリモートをどのようなバランスで組み合わせて、どんな価値をつくっていけるのか。壮大な実験を行っている最中です。失われたものを諦めるのではなく、どうやってリモートの中で実現できるのかを永続的に考えていく姿勢が求められていると感じます。

白河 「過去の貯金」という言葉、本当にそうですね。今後もしもコロナ禍が収束したとしたら、御社の働き方は元に戻ると思いますか。

杉本 戻らないと思います。もちろん、出社とリモートの割合をどう考えるかの見極めは必要ですが、在宅勤務を行う風土はほぼ定着したと言っていいと思います。この半年ほどで働く人の意識は大きく変わりましたから、会社も変わらないといけません。「安全配慮がなく、働き方の柔軟性もない会社なんて魅力がない」と思われてしまったら、優秀な人材を失いかねません。我々のような会社は「人がすべて」ですから、多様な方が高いパフォーマンスで働ける環境づくりを第一に目指していきます。

白河 心強いお言葉をいただきました。住友商事は新卒で働いた会社でもあるので今後の進化も楽しみに注目していきます。きょうはありがとうございました。

あとがき:新卒として入社した住友商事での対談は感慨深いものがありました。どちらかといえば保守的、手堅い社風の企業と思っていたので、実は半信半疑でしたが……この働き方の変化はすごい。同じ商社という業態でも、トップの考え方次第で働き方は変わります。緊急事態宣言の終了後に出社率が高まる企業が多い中、住友商事の本社ビルに人が2割弱しかいないというのは驚きでした。どこの商社も、一見スマートのようで中は「体育会系」の風土という組織が多いのですが、本気で多様な働き方に変え、自律的なキャリアにシフトしようとする強い意志を感じます。人は行動から意識が変わるので、今度どのような相乗効果が起きるのかが楽しみです。

白河桃子
 昭和女子大学客員教授、相模女子大学大学院特任教授。東京生まれ、慶応義塾大学文学部卒業。商社、証券会社勤務などを経て2000年ごろから執筆生活に入る。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣府男女局「男女共同参画会議専門調査会」専門委員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)、「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)など。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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