少女ライラの冒険を描くファンタジー 海外ドラマ1位
2020年8月 海外ドラマ月間レンタルランキング
クオリティーの高い海外ドラマを次々と製作して、ファンから信頼を寄せられている放送局が米国の大手ケーブル局HBOと英国の公共放送BBC。その2者が共同製作で、世界的なベストセラー小説3部作をドラマ化して話題となっているのが『ダーク・マテリアルズI/ライラと黄金の羅針盤』だ。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング8月度では、3位で初登場した前月から順位を上げてトップとなった。
『ダーク・マテリアルズI/ライラと黄金の羅針盤』は現実によく似たパラレルワールドを舞台に、人類の運命を託された少女ライラの冒険を描くファンタジー超大作。英国の作家フィリップ・プルマンのベストセラー小説『ライラの冒険』シリーズを、米HBOと英BBCが共同製作でドラマ化にあたり、2019年11月から英米で放送された。原作第2部のライラの年齢設定に合わせて撮影したいという制作陣のこだわりもあり、異例となる放送前からシーズン2の製作が決まっている。
ストーリーの舞台は、別世界の英オックスフォード。両親を亡くし、ジョーダン学寮で育った12歳の少女ライラは、学者で探検家の叔父アスリエル卿が久々に戻り大喜びするが、彼は新たな発見を発表して、すぐまた旅立つ。その頃、謎めいたコールター夫人が学寮を訪れ、ライラにある申し出をする。一方、町では子供がさらわれる事件が相次いで起こり、ライラの親友ロジャーも姿を消す。彼を探すために、ライラは冒険の旅に出る……。
パラレルワールドを舞台とする本作は、ファンタジーならではのキャラクターが登場したり、独自の設定や世界観が数多くあったりするのが大きな見どころ。例えば、ライラの世界では、人間の魂はダイモン(守護精霊)という動物の姿をしており、言葉を話し、人間と強い絆で結ばれている。魔女や人語を話すよろいグマなど多彩な種族も暮らしており、ライラの冒険にもかかわってくる。また、世界は何世紀にもわたり、あらゆる権力を握るマジステリアム(教権)に支配されており、彼らが隠している世界の真相が物語の鍵となる。
主人公ライラ役には映画『LOGAN/ローガン』で注目を集めたダフネ・キーンが抜てきされて、豊かな感情を見事に表現している。叔父アスリエル卿を原作の大ファンだというジェームズ・マカヴォイ、コールター夫人を『アフェア 情事の行方』でゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞したルース・ウィルソンが演じるほか、大作にふさわしい実力派キャストがそろっている。
アカデミー賞監督のトム・フーパーが製作総指揮
製作総指揮にあたるのは、アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門を受賞した『英国王のスピーチ』や、人気ミュージカル舞台の映画化『レ・ミゼラブル』の監督で知られるトム・フーパー。第1、2話では監督も担当している。登場人物たちの細やかな感情描写に加え、飛行船や北極の神秘的な光景など、英国テレビシリーズ史上最高額の製作費をかけたという壮大な映像が展開するのも見ものだ。
蔦屋書店 商品企画本部 映像レンタルの後藤信之氏によると、レンタルユーザーは50歳以上が多く、メインは60代。男女比は7対3という。「トム・フーパーらしい美しい風景、繊細かつダイナミックな描写が、原作の世界観を再現。とにかくクオリティーが高く、ファンタジー映画が好きな方がどっぷりハマれるスケール感の大きさが人気の理由です。08年に日本公開された映画版の『ライラの冒険 黄金の羅針盤』と一緒に売り場を展開したことも、50代以上の洋画ファンを取り込めてユーザーのすそ野が広がりました」(後藤氏)
後藤氏は「映画版は当初3部作の構想でしたが続編の製作が実現しなかったので、シーズン2の放映が決定しているドラマには原作ファンから大きな期待が寄せられています」という。そのシーズン2は11月から英米で放送される予定。日本でも新たな人気シリーズとなりそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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