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果汁の味わい飲み飽きず キリンのチューハイ・本搾り

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日経トレンディ

キリンビールの缶チューハイ「本搾り」が、2020年1~6月に上半期としては過去最高となる約670万ケースを販売するなど好調だ。03年に登場したロングセラー製品は、香料や酸味料、糖類を使わずに果汁とお酒だけでつくる無添加製法を業界で初めてチューハイで実現したのが特徴。ストロング系でもない、居酒屋向けブランドでもないこの製品は今なぜ受けているのか。

ライム味が通年発売に

「とんでもなく本搾りライムがおいしい」「本搾りライム、箱買いしてしまった」「ビールから離れて、めっきり本搾りライム派になったよ」――。20年5月、果物の断面をアピールするようなパッケージに一新した本搾りのラインアップに、ライム味が加わった。ライム味は過去に期間限定で販売したことがあったが、今回初めて通年販売商品化した。市場に出回ると絶賛する声がTwitterに次々と投稿されたように、待ち望んでいたファンは少なくなったようだ。売り切れになった店舗も一部にあり、メーカーに直接「どこで買えるのか」という問い合わせも相次いだ。

キリンビールの数ある缶チューハイの中で、本搾りは独特のポジションにある。「キリン 氷結」「キリン・ザ・ストロング」のように積極的にテレビCMを展開しているわけではない。というのも、「本搾りを深く愛してくれるロイヤルユーザーの声を可視化し、その声によって新しいユーザーにブランドを知ってもらう戦略」(マーケティング部で本搾りブランドマネージャーを務める小野寺有紀氏)だからだ。「熱量の高い」ユーザーをメインターゲットに据えた地道な努力を続け、着実にファンを増やすことにこだわり続けている。

ファンの裾野を地道に広げていく取り組みが年々実を結んでいく様子は、数字によく表れている。実は出荷実績で2ケタ増を8年連続で達成。累計販売数量も20億本を突破した。同社が本搾りファンに対してアンケート調査で聞いたところ、「飲み飽きない味だから」(82%)、「他のチューハイが甘ったるく感じられるから」(70%)、「クセになる味だから」(約45%)といった理由で継続飲用していると答えるファンが相次いだ。19年に1人が1回当たり買う本数を調べたところ、競合の多くの缶チューハイを本搾りが上回った。

徐々に本搾りを好きなファンが増え、それぞれが浮気せずにリピート買いしてくれる――。だからこそ、5年前のライム味を覚えており復活に心を躍らせる声が相次いだのだろう。

「メルシャンの流儀」が生み出した

本搾りを本搾りたらしめているのは、3つのポイントにある。「果実本来の味わいを実現する製法」「厳選した果汁などの素材」そして「果汁とお酒だけの無添加」――がそれだ。

実際に一口飲んでみると、特徴的で個性的な味わいに驚くはずだ。競合製品を飲み慣れている人にとっては、もしかしたら「酸っぱく」「渋い」ような印象を抱くかもしれない。ただ飲み慣れてくると、過度に甘くもなく自然な味わいが飲み飽きず、結果として様々な料理にも合わせやすいことに気づく。レモン味ならレモン、グレープフルーツ味ならグレープフルーツの果実味がしっかりと表現されている。

その理由は透明なグラスに注いでみればすぐ分かる。ジュースのようににごっており、よく見ると果肉が混じっている。しばらく放置しておくと果肉が徐々に底に沈んでいく様子を確かめられる。

果汁の配合割合は多い順に、オレンジ味が45%、ピンクグレープフルーツは29%、グレープフルーツは28%、ライムは13%、レモン味は12%。競合製品の多くは数%程度だ。高配合率ゆえに、わざわざ「おいしい飲み方"逆さ缶"」とパッケージに印字して、飲む前に缶を逆さにして果汁を混ぜることをメーカーとして推奨しているほどである。

果物らしさをここまで主張するチューハイが生まれたのは、もともとこの製品が現グループ会社でワイン製造を手掛けるメルシャンによって開発された経緯が大きく影響している。「はじめにブドウありき」というフィロソフィー(哲学)を掲げる同社が、ブドウと同じように果物のポテンシャルを最大限引き出す缶チューハイで勝負しようとして生み出したのが本搾り。

ブランドの生みの親であるメルシャン森口敏也氏によると「居酒屋の生搾りチューハイそのままの味や、搾ったときに手に付いた香りまで再現することを目指した」のだという。

発売から17年たった今も、そのフィロソフィーは開発チームに受け継がれている。皮を含めて丸ごと果物を搾り、かんきつの香りまで逃さずに、深みが増すような特殊な搾汁技術を開発。素材選びも、「果汁ハンター」と呼ぶ専門メンバーが世界中の果樹園を歩き回り、上等な果汁を確保する体制を敷く。気象変化によって年ごとに作物の出来栄えにばらつきが生じることから、各地から果汁を調達できるようにしているそうだ。

「理想の味にたどり着くまでに2年以上かかることもある。例えばグレープフルーツ味は、約30種類の果汁から数種類を厳選したうえで、最適な果汁の比率でブレンドしている」(小野寺氏)

果汁のポテンシャルを最大限生かすために、発売以来一貫してこだわり続けるのが無添加だ。「料理をするのに、調味料を一切使わないようなもの。味を調えることはできず、作り手にとって開発は相当大変なもの。ただ、その分やりがいは大きい」。商品開発研究所の中味開発グループの松田莉央子氏は、こう明かす。

選定した果汁のそれぞれの特徴を分析して個性を把握した上で、最もおいしいと感じる果汁とお酒の「黄金の配合比率」を導き出す。果汁分が多いとジュースっぽくなり、逆に酒感を強めると嫌なアルコール感が後に残り飲み続けられなくなってしまうため、高果汁とお酒として楽しめる究極のバランスをつきつめているという。「だからこそ、果実味の余韻を残しつつ、後に引かないスッと切れる味わいが生まれる。どのような食事にも本搾りが合う秘密だ」(小野寺氏)。開発に求められる技術力、長年のノウハウの蓄積、そしてコストの面で、簡単に競合がまねすることは難しいはずだとも胸を張る。

「例えば新しいライム味は、グリーンのすがすがしい香りとしゅんとした酸味といったライムならではの爽やかさを生かしつつ、苦みやえぐみといったくどさをそぎ落とした。毎日飽きずに飲めるような味わいにしたかったからだ」(松田氏)

好調受け、8~9月は前年同期比で2割増産

コロナ禍による「家飲み需要」という追い風も受けて、本搾りは20年5月には過去最高の月間売り上げを達成。好調を受けて、8~9月にかけて前年同期比で2割増産を決めたほどだ。決断は正しかったようで、「速報ベースになるが、8月のグレープフルーツ味とレモン味の月間販売本数が、それぞれ過去最高となった」(小野寺氏)。

チューハイなど容器を開けたらすぐ飲めるRTD(レディー・トゥ・ドリンク)市場は12年連続で伸長しており、勢いは26年まで続くとされる。26年には19年比で1.4倍に膨れ上がるとキリンビールは見ており、本搾りの需要はまだまだ伸ばせると見る。「以前はビールを何杯か飲んだあとにRTDを飲む人が多かったが、今は1杯目からRTDを飲むなどスタイルが明らかに変わってきた」と小野寺氏。

ここ数年、高アルコールなストロング系RTDが人気を集めてきた。コロナ禍による先行きの見えない不安から、すぐ酔えるストロング系の需要は依然として堅調であり活況を呈している。一方で、巣ごもりが続くからこそ生活を上質に豊かにしたいと考える消費者も少なくないとみられる。「様々なことを一通り体験した40~50代を中心に、シンプルで本物志向といった価値観が広がっている。こうした人々は日々の食事をとても大切に考えていて、ピッタリのRTD飲料を探している」(小野寺氏)。時代がようやく本搾りに追いついたのかもしれない。

(日経トレンディ 高田学也)

[日経トレンディ2020年10月号の記事を再構成]

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