野村不・プラウド神田駿河台 高層分譲初の木造併用
今回の目利き 村田真氏
高層の分譲集合住宅としては国内初となる、柱や壁に木質系構造部材を組み込んだ木造ハイブリッドマンションの販売が9月中旬に始まった。野村不動産が企画・販売する地上14階建ての定期借地権マンション「プラウド神田駿河台」だ。
全36戸と小規模だが、構造や権利形態、立地環境に際立った特徴がある。東京都千代田区のJR中央線・総武線「御茶ノ水駅」の西側改札口から徒歩5分。明治大学のキャンパスや錦華公園を見下ろす神田駿河台の高台が敷地だ。南側の崖地はほぼ手つかずの共有地で、都心には珍しく大木が生い茂る。企画のコンセプトは「都心の森に建つ木の家」。健康で快適な住まい、森林資源の循環活用によるSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指した。
「木の家」の追求は仕上げ材だけではない。基本は鉄筋コンクリート造だが、2~11階では住戸間の界壁にLVL(単板積層材)の耐震壁を、12~14階の住戸内にはCLT(直交集成板)の耐震壁と1時間耐火の集成柱を採用した。設計と施工は竹中工務店が担当している。敷地面積は580平方メートルと小さく、共用施設は最小限に抑えている。駐車場は3台分。管理人の常駐スペースも省いた。住戸構成もシンプルだ。全戸が南向き・眺望重視の2LDKで基本プランは3種類。2~11階は各階3戸で角住戸が53平方メートル、中央の住戸が49平方メートル。上層階は80平方メートルの2戸が隣り合う。
野村不は土地所有者と一般定期借地権(地上権)契約を結び、賃借権として購入者に転貸する。契約期間は83年3月まで。平均坪単価は582万円で所有権分譲よりも低めだが、管理費や修繕積立金に加え、地代と解体準備金が毎月発生する。
竣工は21年2月、入居開始は同年3月下旬の予定だ。第1期1次販売は上層階の4戸と11階までの10戸が対象。受け付けを締め切った22日の段階で14戸中8割が成約見込みとなった。建物の存続期間が最初から決まっているので、「竣工前完売を確実に目指したい」と販売担当者は話す。第1期2次販売は10月上旬に始める予定だ。
(日経BP 日経クロステック編集 シニアエディター)
[日経産業新聞2020年9月24日付]
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