大自然や農山村の四季折々の風景など、日本各地には息をのむほどほど美しい景色がある。一度見たら忘れられない、全国の絶景を収めた写真集を書店員が選んだ。
暦に合わせて1日1枚

1位に選ばれたのは47都道府県の絶景を暦に合わせて、1日1枚ずつ紹介する写真集。旅情報などを発信するウェブメディア「TABIZINE(タビジン)」が全国の色鮮やかな写真を集めた。
紅葉が色づいた11月の石鎚山(愛媛県)など、各スポットが最も写真に映える季節の1枚を選んだのが特徴で「四季のある日本に生まれてよかったと実感する」(番場文章さん)。
遠藤貴弘さんは「365日で最も美しい光景を巡りながら、列島の躍動を感じる事のできる1冊」と評価する。写真の枚数が非常に多いため、誰もが好みの場所を見つけられそう。眺めているだけで旅をした気分になれる。「解説は最小限なので写真に没頭できる」(瀬之口和樹さん)のもいい。
(1)TABIZINE(2)パイ インターナショナル(3)2020年2月(4)1900円+税
絵画の中 旅する気分
日本風景写真家協会に所属する全国のプロ写真家15人の合作。「海外でみるような幻想的な風景写真を日本でも集めたいという思いで企画した」(出版元のパイ インターナショナル)。「様々な写真家によって撮られた神秘的な光景は心を打つ」(芝健太郎さん)
光の差し込み方の違いにより青やピンクに輝く山、霧の立ちこめる湿原など、限られたシャッターチャンスをものにした写真が印象的だ。「ここは本当に日本なのだろうかと思わせる、知られざる絶景が掲載されており、夢の世界や絵画の中を旅するような気分になる」(大友渓さん)。見慣れた日本の景色も表現の仕方で大きく印象が変わることに気づかされる。「文句なしにおすすめでプレゼントにも最適」(神谷康江さん)。
(1)日本風景写真家協会(2)パイ インターナショナル(3)2019年10月(4)2400円+税

田舎も都会も 知られざる風景
全国の30人以上のカメラマンの作品を集めた写真集。現地に暮らしているからこそ撮れた奇跡的な瞬間や、一般的にはほとんど知られていない場所で撮られた風景を楽しめる。
「空の色や質感を生かした幻想的な写真も多く、思わずページをめくる手を止めてしまうほどの雄大さを感じる」(伊藤貴光さん)。田園風景から都会の夜景まで幅広い被写体を取り上げているのも面白い。
SNS(交流サイト)や写真展などで人気を集めそうな、色鮮やかで目を引く写真を数多く収めているのも特徴で「明度が高めの写真で、ファンタジックな印象を受ける」(鈴木統太郎さん)。写真が趣味の人は撮り方の参考にしたり、撮影の候補地選びに使ったりしても楽しめそうだ。
(1)MdN編集部(2)エムディエヌコーポレーション(3)2018年9月(4)1900円+税

四季の移ろい 鮮やかに
高台から見下ろした市街地、伝統的な神社仏閣、祭りなど様々な京都の風景を楽しめる。「京都旅行気分を堪能できる1冊で、特に貴船神社の雪灯籠の写真には目を奪われた」(山口優太さん)。
作者は1969年から京都の風景や庭園、建築などの撮影を続けてきた。京都写真の先駆けとも言える存在だ。「四季の移ろう花や緑の色は鮮やかで見事。京都を知り尽くした水野先生だからこそ、数々の神社仏閣を1冊にまとめ上げるという企画が実現できたのではないか」(番場さん)
英語の対訳も付いており、海外の人が日本文化に興味を持つきっかけにもなりそう。蔦屋書店では大型本も限定販売している。
(1)水野克比古(2)光村推古書院(3)2018年4月(4)3200円+税
親子3代 様々な顔写す
初夏の茶畑のかなたに望む富士、南アルプスの北岳から見える雲海の上に顔を出す富士……。日本人の原風景の一つである富士山の四季折々の姿を、各地からとらえた。「周囲の景色も含め、富士山に様々な顔があることを表現したかった」(出版元の光村推古書院)という。
著者の1人の森田敏隆氏は山麓の山梨県鳴沢村に撮影拠点を設け、30年近く撮影を続けてきた。今回の作品集では森田氏が息子と2人の孫と共に、親子3代で撮影した写真を厳選した。「世代を超えた富士山への憧憬が伝わってくる」(遠藤さん)、「それぞれの感性や好みの違いがうまく1冊の写真集となっている」(大友さん)といった声も。
(1)森田敏隆、森田将裕、森田裕貴、森田椋也(2)光村推古書院(3)2019年12月(4)2400円+税