ユーザー層と親和性の高い製品で勝算

今回、洗剤のセルフ量り売りに着手したのはなぜか。鷲頭氏はこれまで通常のローソン店舗でマチカフェのカップをプラスチックから紙に変更するなど、SDGsの取り組みを進めてきた。2019年9月、ナチュラルローソンの担当に着任した際、東京・神奈川・埼玉・千葉で約150店舗を展開するナチュラルローソンでできることを検討した。第1弾は、弁当容器をプラスチックから紙に置き換えた。一度共感すればリピーター化する傾向があるナチュラルローソンの顧客からの反応もよく、「賛同するお客様がいることを確信できた」(鷲頭氏)。

第2弾では、SDGsの達成をさらに進めるためにはプラ削減だけでなく、「そもそもゴミを出さないことが一番いい」と考えた。鷲頭氏の念頭にあったのは、プラスチック容器がなければ成立しない日用品だ。例えば洗剤はビッグボトルはよくあるが、少量で試せる商品があまりない。もし合わなかった場合、破棄するしかなくなる。「洗剤は機能性だけでなく、香りなどで選ぶことも多いある種のし好品。少量から試したいニーズはある」と見て、量り売りのトライアルを始めることにした。

そこで既に量り売りを実践していたエコストアの知見を生かすことにした。「エコストアで量り売りをする層と、ナチュラルローソンのユーザー層との親和性が高い」と感じたことも、トライアルを後押しした。どちらも若い女性だけでなく、アクティブシニア層の利用が多いという。

実際に量り売りを開始したところ、「愛用していたエコストアの量り売りが近くにできてよかった」とわざわざ来店する客が増えたという。「コンビニにとって一番の利点は近いこととされる。目的買い商品をいかにつくるかが課題であるだけに、強い柱になり得る。想定以上の反応に驚いた」と鷲頭氏は量り売りの潜在力の高さを確信する。

洗剤の量り売りに関してはボトルの液ダレが課題で、10月には新しいボトルを導入予定だという。また9月中旬には病院内のローソン店舗にも導入し、反応を見て全国の病院内店舗への拡大を検討する。

ナチュラルローソンにおける今後の展開については、洗剤という枠にとらわれず、量り売りのポテンシャルについてさらに深掘りしていきたいという。「様々なノウハウを異なるものに置き換えて提案することで、別の可能性が見えてくる」と鷲頭氏。ローソンのレギュラー店舗への展開については、施策に共感してくれる顧客層が多くなければ「風景」と化してしまうと考え、慎重に判断するという。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2020年9月17日の記事を再構成]

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