みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員はGo To イートの利用がファミリーレストランなど一部の業態に偏るのではないかと懸念しています。インターネットでの閲覧数がファミレスなど昼の店は多い一方、居酒屋などは低調だからです。岡田さんは「本当に困っている夜の店を助けたいなら、安全対策をしっかりしている居酒屋はGo To イートのポイントを優遇するなど、特別な措置が必要だ」と話していました。

田中万理・一橋大学講師「日本の支援、個人より企業が優先」

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた日本の経済対策にはどのような特徴があったのでしょうか? 給付金などの効果を分析した一橋大学の田中万理講師に話を聞きました。

――海外と比べて、日本の支援策をどう評価しますか。

田中万理・一橋大学講師

「休業補償など政策のメニューは海外と似ており、標準的だったと言えます。英オックスフォード大学が経済政策の充実度を指標に国際比較したところ、日本の支援は米国や韓国などに比べて手厚い部類に入りました。特に企業向けの支援は充実していたと思います」

――支援策は効果をもたらしましたか?

「個別の政策によって異なります。売り上げが前年より50%以上減った中小企業に200万円まで支給する『持続化給付金』は一定の効果がありました。私たちが従業員20人以下の約6000社から得たアンケートを分析すると、給付金を『もらえる』という期待が、年末まで事業を継続できる見通しを2割ほど高めていたのです」

「一方、従業員に支払った休業手当を政府が支援する『雇用調整助成金』は、小規模事業者の見通しにほとんど影響を与えていませんでした。支給の条件に『労使間の協定に基づく休業』などが入ったことで、受け取る見込みが小さくなったことが原因だと考えられます。さらに助成金をもらおうとしている企業を調べると、雇用主が普段から従業員とよく対話していることがわかりました。これは裏返せば、従業員が休業手当をもらえるかどうかは、雇用主の性格に左右されてしまうという意味です。企業への支援が充実していた一方、個人への支援をもう少し考えた方がよかったと思います」

――Go To イート事業についてはどんな効果が予想できますか。

「飲食店の売り上げを短期的に高める効果はあるかもしれません。しかし人の移動を増やすことで新型コロナの感染を増やしてしまうリスクもあります。その効果とリスクの評価は慎重にしないといけません。もし感染が増えてしまえば、人々が外出を恐れることにより、長期的にも客足を減らすかもしれないためです」

「私たちの調査では、事業者は感染がおさまった時期に経済が元に戻ると考えていることがわかりました。海外でも長期的な経済に与える効果は、ウイルス対策の方が景気刺激策を上回るという研究が出ています。長い目でみると感染を抑える対策がより求められます。たとえば同じ予算を使うなら、Go Toよりも休業した事業者などへの給付金の方が、感染リスクを抑える意味で有効かもしれません」

(高橋元気)

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